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ギフト通販業界で18年、MD・バイヤーとして1,000社以上の企業様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。

今は、その知見を活かし食品メーカー様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。


今日は、通販で食品ギフトを競合他社よりも高価格で売る方法とは?についてお話しします。

「美味しい」だけでは通用しない、ギフトの切実な現実

「商品には絶対的な自信があるのに、競合よりも少し高いだけで選ばれない」「いつも価格比較サイトで最安値が選ばれてしまい、利益が削られていく」「ギフト商品なのに、なぜか『安売り』を強いられてしまう」

あなたは、このように感じていませんか?

多くの企業は、販売価格を「原価率」や「競合価格」から逆算して決めています。

しかし、特に「ギフト通販」という市場においては、その発想が高価格で売れない原因になっています。なぜなら、ギフトの購買動機は「自分のため」ではなく、「大切な誰かのため」であり、価格よりも「贈る意味」や「感情的な価値」が最優先されるからです。

「ただ安いから」という理由では、ギフトは選ばれません。選ばれるのは「相手に喜ばれるか」「自分の気持ちが伝わるか」という感情的な価値を明確に持った商品です。

この記事でわかること

  1. 食品ギフト通販における「価格決定権」を取り戻し、競合他社よりも高価格でも顧客に納得感を与えて選ばれるための4つの具体的な戦略が手に入ります。

  2. 「モノの価値」ではなく「感情の価値」を設計することで、原価率に縛られない高利益率の価格設計を実現する視点が身につきます。

  3. 「価格が高い理由」を明確に言語化し、ブランドロイヤルティとリピートを生み出すための実用的なヒントを習得できます。

ギフト市場における「価格」の特殊性

EC市場全体では、価格比較サイトの普及により、消費者は常に「最安値」を探しています。しかし、ギフト市場は全く異なる性質を持っています。

「ギフト予算」の現実

例えば、母の日や父の日といったパーソナルギフト市場では、3,000円〜5,000円の価格帯がボリュームゾーンとなる傾向があります。これは、消費者が「贈る相手」や「イベント」に応じてあらかじめ予算を決めていることを意味します。

購買動機一般的な自家消費品(安さが重視)ギフト商品(価値が重視)
購入の決め手最安値、コスパ、即納性気持ちが伝わるか、商品の意味、パッケージの特別感
価格帯の意識予算内なら安いほど良い予算に収まる適切な価格(高すぎても安すぎてもダメ)


なぜ問題が起きるのか?

多くの企業が、ギフト商品の販売価格を「競合より少しでも安く」設定しがちです。しかし、ギフトの購入者は「安さ」よりも「安心感」や「特別感」を求めているため、「安売り」はかえって「手抜き感」「チープさ」と受け取られ、価格の正当性を失ってしまいます。

このジレンマを解決するには、価格を正当化する「付加価値」を商品に組み込み、高価格でも「選ばれる理由」を明確に設計することが不可欠です。


高価格でも売れる!食品ギフトの「4つの付加価値」設計戦略

競合他社よりも高くても売れるギフト商品には、必ず「価格以上の価値」を納得させるための具体的な要素が組み込まれています。

戦略1:【意味の付加】「贈る目的」に特化した情緒的な価値

単に「美味しいお菓子」ではなく、「この商品を選んだ意味」を贈り手が相手に伝えられるように設計します。

ストーリーとメッセージの言語化

  • 「メッセージ」の組み込み
    元のコラムの例のように、同じカステラでも「お母さんありがとう」の焼き印や、「長寿を祝う」ための特別な風呂敷といった、メッセージを代弁する要素を組み込みます。このメッセージ代行機能こそが、価格差を上回る価値になります。

  • 用途の特化
    「カジュアルな内祝い」「プロポーズ後の両親への挨拶用手土産」「在宅ワークの友人を励ますギフト」など、特定の用途に特化して商品名やパッケージを設計することで、他の汎用的な商品との比較対象から外れます。

戦略2:【安心感の付加】「梱包と開梱体験」による品質保証

ギフトは、「受け取る人」と「贈る人」の両方が満足しなければなりません。特に、「届いたときの安心感」は高価格の正当性を支えます。

手間とコストを惜しまない「演出」

  • 開封の儀式化
    高価格帯の商品では、「開ける楽しみ」自体が価値となります。上質な薄紙で包む、ロゴ入りのリボンを使う、商品に添える「商品のストーリーや食べ方を記したしおり」を豪華にするなど、手間に見合う特別感を演出します。

  • 完璧な配送設計
    破損防止のための二重構造の梱包、高級感のある緩衝材(例えば、和紙やウッドパッキンなど)への投資は、「受け取る側への配慮」として贈る人に安心感を与え、高価格の「品質保証」となります。

戦略3:【希少性の付加】「手間」と「限定性」による価値創造

「なぜ高いのか?」という疑問に対し、「手間がかかっているから」「ここでしか手に入らないから」という明確な理由を提示します。

「手作業」と「限定」の明確化

  • 製法の明確化
    「職人が手作業で〇〇時間かけている」「機械では再現できない昔ながらの製法」など、コストがかかっている理由=高い理由を写真と文章で明確に伝えます。お客様は、「手間の価値」には喜んでお金を払います。


  • 季節・数量限定
    「この地域の農家から年に一度だけ収穫される素材を使用」「限定〇〇個で終了」など、「買えるタイミングの制限」を設定することで、希少性を高め、価格競争から脱却します。

戦略4:【体験の付加】「使用後の満足」につながるアフターフォロー

ギフトは、贈って終わりではありません。「贈った後の相手の反応」こそが、贈り手の最大の関心事です。

贈り手と受け取り手への配慮

  • レシピや活用法を添える
    高価格帯の食材であれば、「最高の状態で召し上がっていただくためのレシピ」や「最後まで無駄なく楽しむアレンジレシピ」を同梱し、受け取り手の満足度を高めます。

  • 贈り手へのフォロー
    贈り手に対し、購入後に「梱包・発送の様子」の写真を添えたメールや、「お相手への感謝メッセージ」を添えたフォローメールを送ることで、「自分の気持ちが丁寧な形で届いた」という安心感を提供します。この丁寧なサービスが、「この店なら高くてもまた頼みたい」というリピートに繋がります。

FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス


Q1. 競合の商品と品質は同じなのに、価格だけを上げても大丈夫ですか?

A. 品質が同じでも、「価格を正当化する付加価値」があれば問題ありません。高価格戦略では、「商品そのもの」の価値に加え、「贈る人の気持ちを代弁する価値(メッセージ、パッケージ、サービス)」が重要です。これらの付加価値を一つでも組み込むことで、お客様は「競合とは別の商品だ」と認識します。

Q2. ギフトと自家消費用で、価格設定を変えるべきですか?

A. 変えるべきです。ギフト用は、単なる商品代金に留まらない「特別なサービス」を提供しているため、価格を正当化することが可能です。

商品は「ギフト専用」で設計する:全く同じ商品を販売するのではなく、ギフト用は「専用のパッケージ」「豪華な個包装」「メッセージを添えるための特別な仕様」など、自家消費用にはない物理的な付加価値を組み込み、「別商品」として成立させることが理想です。こうすることで、単純な価格比較を避けられます。

成功するための注意点

  • 価格の透明性
    高価格で売る以上、「なぜこの価格なのか」を徹底的に説明しなければなりません。原材料の希少性、手間の多さ、パッケージの品質、サービスの手厚さなど、すべてのコストが「付加価値」に転換されていることを明示しましょう。

  • 安易な値引きの禁止
    一度高価格のポジショニングを確立したら、安易な「全品〇%オフ」といった値引きセールはブランド価値を毀損します。値引きをするなら、「季節の特別セット」「数量限定のお試しサイズ」など、「値引きの理由が明確な企画」に限定すべきです。

まとめ【高価格で売る鍵は「感情的価値の設計」】

通販で食品ギフトを競合他社よりも高価格で売る秘訣は、「原価」から目を離し、「お客様の感情」に目を向けることです。「高価格=悪」ではなく、「高価格でも納得される付加価値設計」を目指しましょう。

今回のポイント

  • ギフト市場では「価格」よりも「贈る意味(感情的価値)」が優先される。

  • 競合より高くても選ばれるには、「意味の付加」「安心感の付加」「希少性の付加」「体験の付加」の4つの戦略的価値を組み込む。

  • 梱包やメッセージといった「商品以外の部分」こそ、価格を正当化する最大の武器である。

  • 価格が高い理由を明確に説明し、安易な値引きは避けることが、ブランド価値を維持する。

次の成功に向けたアクション

この記事で解説した価格を正当化する付加価値の設計は、ギフト事業の根本的な課題解決に直結します。

もし、あなたの会社がギフト事業の伸び悩みに課題を感じていらっしゃるなら、現状を客観的に把握できる無料チェックリストをご用意しました。


課題が見えることで、次の一手も明確になります。
未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。



今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

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