お忙しい中、ご覧いただきありがとうございます。

ギフト通販業界で18年、MD・バイヤーとして1,000社以上の企業様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。

今は、その知見を活かし食品メーカー様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。


今日は、「中小食品メーカーの「高利益」はギフト需要で決まる!ネットで売れる商品開発の戦略設計」についてお話しします。

目次

「自信作」がネットで埋もれてしまう本当の理由

「地元では評判の自信作なのに、ネットショップでは売れない」「新商品を開発しても、すぐに価格競争に巻き込まれてしまう」「手間をかけた商品なのに、その価値がお客様に全く伝わっていないようだ」—中小食品メーカーの経営者であるあなたは、このように感じていませんか?

一生懸命作り上げた商品が、ネットという非対面の世界で「数ある商品のひとつ」として埋もれてしまうのは、本当に悔しいことです。

この問題の根本原因は、商品の「品質」にあるのではなく、「ネット通販特有の環境」において、「お客様が『買いたい!』と思う衝動」を設計できていないことにあります。消費者は味や香りを試せない分、「写真」と「言葉」だけで「特別な体験」を想像し、購入の決断を下す必要があります。

この記事でわかること

  1. 「ネット通販で売れない」原因を根本から特定し、「何を開発すればヒットするのか」という戦略的な商品開発の視点が手に入ります。

  2. 今日から実行できる5つの具体的なステップを通じて、あなたの商品の「価値」を最大化し、「価格競争」から脱却するための設計図を習得できます。

  3. 高利益率の「ギフト需要」を確実に取り込み、安定した収益を生み出すための、パッケージングとメッセージングの技術が明確になります。


なぜ「良い商品」がネットで売れないのか?

日本のEC市場は拡大していますが、同時に新規参入と競争も激化しています。

「ネット販売の壁」

中小企業がネットで成功しにくい背景には、以下の2つの大きな壁があります。

  1. 「情報の砂漠」化
    ネット上には情報が溢れすぎているため、お客様は「自分にとって何が必要か」を見つけられずに疲弊しています。「こだわりの製法」といった抽象的なメッセージは、「ノイズ」として処理されてしまい、記憶に残りません。

  2. 「試せない」という心理的障壁
    食品ECでは、お客様は味や匂い、食感を確かめられません。この「試せない」不安を解消できなければ、お客様は「より安価な商品」か「すでに知っている大手ブランド」を選んでしまいます。

この問題が起きる理由は、多くのメーカーが「良いモノを作れば売れる」という実店舗の常識で商品開発をしてしまうことにあります。ネット通販では、「モノ」を売るのではなく、「食べる体験」と「感情的な共感」を売る視点が不可欠です。


ネット通販で「価格競争」から脱却する商品開発の5つの視点

ネット通販でヒットを生み、高利益率を維持するためには、「品質」だけでなく、「購入理由」と「リピート理由」を徹底的に設計する必要があります。

中小企業が今すぐ取り組むべき、「ネットで売れる商品開発」の5つの視点を具体的な実行ステップに整理して解説します。

視点1:「誰のための商品か」ではなく「どんなシーンのための商品か」で開発する

ターゲットを絞り込むのは基本ですが、さらに一歩進めて「特定のシーン」で代替がきかない商品を目指します。

ペルソナの「シーン」を徹底的に深掘りする

  • ダメな視点
    30代の健康志向の女性向けに開発しよう。

  • 成功する視点
    「30代の共働き夫婦が、忙しい平日夜に、罪悪感なく楽しめる本格的な一品」という特定のシーン(平日の夕食、手軽さ、健康)に特化して開発します。

    • 具体的な商品設計
      通常の1パックを、夫婦で食べ切れる「1人用×2セット」に変更。「〇〇分の湯煎で本格プロの味」といった「シーンに特化したキャッチコピー」をパッケージに採用。
  • 効果
    お客様が「まさに自分のための商品だ」と瞬時に感じ、競合他社の商品と比較される前に購入が決定します。

視点2:「モノ」ではなく「食べる体験のストーリー」を設計する

お客様は商品を買うのではなく、「商品がもたらす未来の体験」を買っています。この「体験」を、写真と文章で明確に言語化します。

五感を刺激する「共感のストーリー」を徹底的に織り込む

  1. 「なぜこの味が生まれたか」
    単に「美味しい」ではなく、「雪深い山里で、〇〇代続く伝統製法を守り抜いた味」のように、希少性と生産者の哲学をストーリー化します。


  2. 「五感を刺激する言葉
    ネットでは匂い、食感、温度が伝わりません。「口に入れた瞬間のシャキシャキ感」「鼻に抜ける芳醇な香り」「じんわり広がる優しい甘さ」のように、五感を刺激する具体的な言葉で、お客様の脳内で試食を再現させます。

  3. 「シズル感」の追求
    商品そのものの写真だけでなく、「湯気が立ち込める様子」「スプーンですくった時のとろみ」「食べる人の笑顔」など、今すぐ食べたい衝動を掻き立てる写真(シズル感)を最優先で用意します。


視点3:「ギフト需要」を前提に「贈る人の不安」を解消するパッケージング

食品ECで利益率を大きく左右するのが「ギフト需要」です。ギフトで選ばれるためには、「贈る人」の視点に立って、「失敗したくない」という不安を解消する設計が必要です。

贈答品としての「安心感」を設計する

  • 梱包材を価値に変える
    贈答品は「開ける体験」が価値になります。手書き風のメッセージカード、商品のストーリーを記載した上質な「しおり」、開けるときの高級感を演出するパッケージデザインに投資します。

  • 「失敗しない保証」の提供
    熨斗(のし)やメッセージカード、複数配送先などの基本的なオプションを充実させるのはもちろん、「失敗しないギフトの選び方」といったコンテンツを用意し、購入者の不安を解消します。

  • プロモーションの工夫
    商品ページで、「贈答用レビュー」や「梱包・発送の様子」を公開し、「相手に失礼がないか」という不安を取り除き、安心感を最大化します。


視点4:「リピート」につながる「もう一つの使い道」を提案する

ネット通販の成功は、「新規顧客獲得コスト(CPA)」を「顧客生涯価値(LTV)」が上回るかどうかで決まります。LTVを高めるためには、リピートを前提とした商品設計が必要です。

「飽きさせない提案」を商品に組み込む

  • アレンジレシピの提案
    単一の商品で終わらせず、「この調味料を使えば、こんな料理もできる」「残った時の簡単アレンジレシピ」といった「もう一つの使い道」を同梱物やメールマガジンで提案します。

  • 定期購入への導線設計
    「お得な定期購入セット」を設計するだけでなく、「毎月違ったアレンジレシピ」や「季節の食材との組み合わせ」など、「定期的に買う理由」となる付加価値を情報として提供します。

視点5:「限定性」と「希少性」を意識して「緊急性」を生み出す

ネットには膨大な商品があるため、「今すぐ買わなければならない理由」がないと、お客様は「後で買おう」とページを閉じてしまいます。

あえて「買えるタイミング」を制限する

  • 数量限定をルールにする
    「伝統的な製法のため、年に〇〇個しか作れません」といった「作れない理由」を明確にし、希少性を訴求します。これは、中小企業特有の「制約」を「価値」に変える最も有効な手段です。

  • 季節限定を徹底する
    「この地域の〇〇という食材が手に入る、〇月~〇月限定」など、販売期間を明確に区切り、お客様に「今買わなければ次はない」という緊急性を与えます。


FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス


Q1. ストーリーを語るのが苦手です。どうすれば自然に伝えられますか?

A. ストーリーは「作り話」である必要はありません。最もお客様の共感を呼ぶのは、「正直な失敗談」や「商品の製法における工夫、手間」です。

  • 記録を残す
    日々の製造過程で「これは大変だった」「ここが他社とは違う」と感じた点を写真や動画で記録し、それを「正直な言葉」で語るだけで十分なストーリーになります。お客様は「完璧」よりも「誠実さ」に共感します。

Q2. 商品開発に失敗するリスクを減らすにはどうすればいいですか?

A. スモールスタートと顧客の声の徹底活用が鍵です。

  • テスト販売
    大々的にローンチする前に、自社ECサイトで限定的にテスト販売を行い、購入者の「レビュー」や「想定外の利用シーン」を徹底的に収集します。

  • リピート率の計測
    ネット通販では、新規顧客獲得コストよりも、リピート率を重視して商品開発の評価を行います。リピート率が低い商品は、その原因(価格、パッケージ、メッセージ)を特定し、改善を続けます。

成功するための注意点

  • メッセージの一貫性
    どんなに良い商品でも、「商品ページのメッセージ」と「実際に届いたパッケージ」、そして「お客様へのメール対応」のすべてに一貫性がなければ、ブランドの信用は失われます。5つの視点で設計した「商品の価値」が、顧客接点のすべてでブレていないか常に確認してください。

  • 競合分析の視点
    競合他社の商品を、「美味しいかどうか」だけでなく「どんなシーンで売ろうとしているか」「どんな不安を解消しようとしているか」という「戦略の視点」で分析することが、あなたの商品の「差異化ポイント」を見つけるための近道です。


まとめ【ネット通販ではモノではなく共感を売る】

ネット通販で成功する商品開発とは、単に「良いモノ」を作ることではなく、「価格競争から脱却し、高利益率を維持できる『仕組み』」を商品に組み込むことです。お客様の「購買心理」を逆算し、「食べる体験」と「感情的な共感」を徹底的に設計することがカギとなります。

今回のポイント

  • ネット通販では「モノ」ではなく「体験」と「共感」を売る視点が不可欠。
  • 商品開発は、「特定の利用シーン」と「贈る人の不安解消」を前提に行う。
  • ストーリーや限定性といった「感情的価値」を組み込み、価格競争から脱却する。
  • リピートを前提としたLTV最大化のための商品設計が、成功の鍵。

もし、あなたの会社がギフト事業の伸び悩みに課題を感じていらっしゃるなら、現状を客観的に把握できる無料チェックリストをご用意しました。

課題が見えることで、次の一手も明確になります。未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

あなたのビジネスが成功することを

いつも応援しています。