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ギフト通販業界で18年、商品企画・バイヤーとして1,000社以上の食品会社様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。
今は、その知見を活かし中小食品会社様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。
今日は、「中小食品メーカー社長のためのニーズ+独自性で勝つコンセプトの作り方」についてお話しします。
- 1. なぜ、市場ニーズを満たしても商品は売れないのか?
- 1.1. この記事でわかること
- 1.2. ヒット商品に見る「ニーズ+アルファ」の法則
- 2. 「ニーズに合った商品」が陥る2つの落とし穴
- 2.1. 市場の「同質化」と「価格競争」の罠
- 2.2. なぜ問題が起きるのか?「自社らしさ」が消える開発サイクル
- 3. 「選ばれる理由」をつくるプロダクトマーケットフィット(PMF)
- 3.1. コンセプトを貫き、市場で勝利した2つのメーカー
- 3.1.1. 事例1:流行に逆らい「手作り感」を貫いた洋菓子メーカー
- 3.1.2. 事例2:地元の食材を「新しい価値」で提供した調味料メーカー
- 3.2. PMFを実現する:市場と理念が重なる「3つの視点」
- 3.2.1. 視点1:市場の「真の困りごと」を掘り起こす
- 3.2.2. 視点2:自社の「妥協できない軸」を言語化する
- 3.2.3. 視点3:両者を結びつける「コンセプト」を設計する
- 4. PMFを実現するための具体的な3つのステップ
- 4.1. ステップ1:まず「自社の軸」を整理し、言語化する
- 4.2. ステップ2:ターゲット顧客の「真の困りごと」を深掘りする
- 4.3. ステップ3:コンセプトを「キャッチコピー」として表現し、試す
- 5. FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス
- 5.1. Q1:「ニーズがない商品」でも、軸を貫けば売れますか?
- 5.2. Q2:コンセプトを変えると、既存のリピーターが離れませんか?
- 6. まとめ【「理念」と「ニーズ」が重なる場所へ】
なぜ、市場ニーズを満たしても商品は売れないのか?
商品開発において「マーケットニーズが大事」というのは、誰もが知っている常識です。あなたの会社でも、世の中のトレンドや競合を分析し、「求められている」商品を作っていることでしょう。
しかし、こんな悩みを抱えていませんか?
- 売上の伸び悩み
「無添加」「グルテンフリー」などニーズに合わせたのに、思ったほど売れない。 - 独自性の喪失
市場に合わせるうちに、「どこにでもある商品」になってしまい、お客様に選ばれる理由が見当たらない。 - 継続性の欠如
売れても一時的で、継続的なリピートやファンにつながらない。
市場の声を意識しているのに売れないのは、「ニーズを満たす」ことと「お客様に選ばれる」ことの間に、決定的な溝があるからです。
この記事でわかること
- 売れない原因の明確化
「ニーズがあるのに売れない」という矛盾の正体と、商品開発における致命的な落とし穴がわかります。 - 選ばれる商品の設計図
「マーケット」と「自社の軸」を両立させ、指名買いされる商品を設計するための3つの視点(PMF)がわかります。 - 具体的な成功事例
「コンセプト」を軸に、市場で勝利した中小メーカーの具体的な成功例を学べます。
ヒット商品に見る「ニーズ+アルファ」の法則
私は長年、通販業界でギフトや食品を扱う中で、「ニーズだけでは売れない」商品を数多く見てきました。その経験から確信しているのは、「売れ続ける商品」には必ず「ニーズを超えた、心に残る独自の理由」があるということです。今日は、その「独自の理由」をどう見つけ、どう商品に落とし込むかをお伝えします。
「ニーズに合った商品」が陥る2つの落とし穴
市場の「同質化」と「価格競争」の罠
インターネットの普及により、お客様は簡単に情報を比較できるようになりました。これは、中小メーカーにとっては大きなチャンスであると同時に、厳しい現実も突きつけています。
- 同質化の加速
市場の売れ筋キーワード(ニーズ)がすぐに広まるため、「無添加」「機能性表示」といった特徴が「当たり前」になり、差別化要因として機能しなくなっています。 - 価格競争への逆戻り
「同じような特徴」の商品は、最終的に価格で比較されます。お客様から見ると、あなたの高付加価値商品も、「よくある商品の一つ」として見えてしまっているのです。
なぜ問題が起きるのか?「自社らしさ」が消える開発サイクル
市場を意識することは大切ですが、そのニーズばかりに寄せすぎると、どこかで“違和感”が出てきます。これが「ニーズがあるのに売れない」最大の理由です。
- 落とし穴1
軸を持たない「流行りもの」開発 流行に合わせて無添加・グルテンフリー・高タンパク…と要素を盛り込みすぎた結果、「どこにでもある商品になってしまった」「自社らしさが見えなくなった」という声を、私は現場で何度も聞いてきました。つまり、市場ニーズに合っていても、心に残る独自性がないと、選ばれにくいのです。 - 落とし穴2
売り手の「妥協」による魅力の減退 本来の製法やこだわりを「ニーズに合わないから」と削ぎ落とし、「売れるために妥協する」という発想で商品を作ると、作り手の熱意が消え、お客様の心に響く「感動」もなくなってしまいます。
売れない理由を「タイミングが悪かった」「SNSで拡散されれば…」と外部要因に求める前に、見直してほしいのは、「自社の軸は、どこまで商品に表現されていたか?」ということです。
「選ばれる理由」をつくるプロダクトマーケットフィット(PMF)
市場ニーズに合わせることをやめるのではなく、「市場が求めていること」と「自社の強み・想い」が重なる最適なポイントを見つけ出す必要があります。これがPMF(プロダクトマーケットフィット)という考え方です。
コンセプトを貫き、市場で勝利した2つのメーカー
事例1:流行に逆らい「手作り感」を貫いた洋菓子メーカー
あるメーカーは、市場が「日持ちする」「個包装」といった利便性を求めていた時期に、あえて「賞味期限は短いけれど、手作り感のある素朴なケーキ」を打ち出しました。
- ニーズへの対応
一切の妥協なしに、「本当に美味しい、作りたての味」という自社の軸を貫く。 - 選ばれる理由
ギフト市場で「作り手の顔が見える、温かい手土産」という独自のポジションを確立。「心に残るギフト」という感情的なニーズに応え、他社の追随を許さない指名買いにつながりました。彼らが売ったのは「ケーキ」ではなく、「大切な人への心遣い」です。
事例2:地元の食材を「新しい価値」で提供した調味料メーカー
「地元の食材を使っている」というだけでは埋もれてしまう状況で、ある調味料メーカーは、その地域の「土壌や水」にこだわり、「この地でしか作れない、日本料理のプロが惚れ込む調味料」というコンセプトに絞り込みました。
- 自社の軸
地元への強い愛着と、長年培った「発酵技術」というコアコンピタンス。 - 選ばれる理由
ターゲットを「食への意識が高い層」に絞り込み、「料理の腕前を格上げしてくれる」という機能的価値だけでなく、「食文化を支える生産者への応援」という情緒的価値を同時に提供しました。
PMFを実現する:市場と理念が重なる「3つの視点」
「売れるために妥協する」のではなく、「マーケットにも、理念にもフィットする商品」を作るために、以下の3つの視点を明確にしましょう。
視点1:市場の「真の困りごと」を掘り起こす
お客様は、単に「無添加のものが欲しい」(顕在ニーズ)だけでなく、「安心して子どもに食べさせたいが、どれを選べばいいか分からない」(潜在ニーズ/困りごと)と思っています。
- 問い
「あなたの商品の強みは、お客様のどんな不安や面倒を解消できますか?」 - 例
単なる「グルテンフリー」ではなく、「子どもがアレルギーでも、家族みんなで同じテーブルを囲める」という食卓の平和を約束する。
視点2:自社の「妥協できない軸」を言語化する
あなたの会社が「これだけは譲れない」という理念や製法を、明確に言葉にしましょう。これが、他社には決して真似できない独自性であり、お客様が選ぶ理由になります。
- 問い
「あなたの会社が、この商品をなぜ作っているのか?」「他社が真似できない秘密のこだわりは何か?」 - 例
「手間がかかっても、地元産の大豆だけを使い続ける」という“なぜ”を、商品のストーリーとして強く打ち出す。
視点3:両者を結びつける「コンセプト」を設計する
市場の困りごと(ニーズ)と自社の軸(理念)を結びつけ、「あなたの会社の商品が、そのお客様の課題を解決する唯一の存在である」ことを示すコンセプトを設計します。
- コンセプト=(自社の強み)×(市場の困りごと)×(情緒的価値)
- 例
「伝統の〇〇製法を守り続けることで、忙しい現代人に、心身ともに満たされる贅沢なひとときを提供する〇〇(商品名)」
PMFを実現するための具体的な3つのステップ

「頭ではわかったが、何から始めればいいか」という方のために、PMFを実現するための具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:まず「自社の軸」を整理し、言語化する
【実践内容】
創業時の理念、製法、素材、そして「この商品が愛されるのはなぜか?」を、社長や古参社員で徹底的に話し合い、核となる言葉を見つけます。
【NG】:「美味しい」「安心」といった抽象的な言葉で終わらせないこと。
ステップ2:ターゲット顧客の「真の困りごと」を深掘りする
【実践内容】
既存のお客様に直接ヒアリング(電話、アンケート)を行い、「なぜ買ってくれたのか?」「何に困っていたか?」を具体的に聞きます。
【注目点】:「買おうと決めた理由」よりも、「買う前に抱えていた不安や課題」に注目しましょう。
ステップ3:コンセプトを「キャッチコピー」として表現し、試す
【実践内容】:ステップ1と2の結果を結びつけたコンセプトを、キャッチコピーとしてWebサイトやパンフレットの冒頭に記載し、お客様の反応(クリック率、問い合わせ率)を計測します。
【重要】:コンセプトは「作るもの」ではなく「市場に問いかけるもの」です。反応を見ながら何度も修正しましょう。
FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス

Q1:「ニーズがない商品」でも、軸を貫けば売れますか?
A: 「ニーズがない」のではなく、「潜在的すぎて顕在化していない」可能性があります。
事例1の「賞味期限の短い手作りケーキ」も、顕在ニーズ(日持ちする)には反していますが、「本当に心のこもった温かいギフトを贈りたい」という感情的な潜在ニーズには強く応えています。軸を貫く際は、それがお客様のどんな「感情的な困りごと」を解決するかを明確にしてください。
Q2:コンセプトを変えると、既存のリピーターが離れませんか?
A: むしろ、リピーターのロイヤリティ(愛着)が高まるチャンスです。
コンセプト変更は、「自社の軸を改めて明確にする」行為です。リピーターは、あなたの商品の「熱烈な理解者」です。新しいコンセプトを伝える際は、「改めて、私たちがこの商品を作り続ける理由をお伝えします」というメッセージを丁寧に伝えることで、お客様の共感をさらに深めることができます。
まとめ【「理念」と「ニーズ」が重なる場所へ】
- 売れない原因
市場のニーズに合わせすぎると、独自性が薄れて価格競争に巻き込まれます。 - 成功法則
PMF(プロダクトマーケットフィット)の視点で、「自社の妥協できない軸」と「市場の真の困りごと」が重なる場所を探すことが重要です。 - 3つの視点
真の困りごとの掘り起こし、軸の言語化、コンセプトの設計を実践しましょう。
「マーケットの声だけを追いかけるのでもなく、自社の想いだけを押し付けるのでもない。『届けたい価値を、届く形にして届ける』」そんな商品開発が、本当に求められている時代です。
そのために、今どこに立っていて、何が足りないのかを知ることが、すべてのはじまりだと私は考えています。
あなたの会社の商品やブランドの現状に基づき、*「市場で通用するギフト価値」を持っているかを客観的にチェックするための、【ギフト課題診断チェックリスト】をご用意しましました。
課題が見えることで、次の一手も明確になります。
未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。
今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。
あなたのビジネスが成功すること
をいつも応援しています。