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ギフト通販業界で18年、バイヤー・商品企画として1,000社以上の食品会社様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。今は、その知見を活かし中小食品会社様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。
今日は「店舗をもっているお店が通販をやるにあたり強みは」と、失敗しないための重要ポイントについてお話しします。
- 1. 通販参入の波と、店舗事業者が抱える課題
- 1.1. この記事でわかること
- 2. 店舗ビジネスがEC参入で直面する2つの壁と隠された「金の卵」
- 2.1. なぜ、ECでは売れないのか?
- 2.2. 誰も教えてくれない!店舗が持つECでの「金の卵」
- 3. 実店舗の資産をオンラインで最大化する3つのステップ
- 3.1. ステップ1:「リアル体験」をデジタルコンテンツに翻訳する
- 3.1.1. 1. 商品開発の「裏側」を語るコンテンツ(信頼と共感の醸成)
- 3.1.2. 2. 接客の「知識」をQ&Aやガイドに(安心感の提供)
- 3.1.3. 3. 視覚情報では伝えきれない「感覚」の言語化
- 3.2. ステップ2:「顧客情報」をシームレスに連携させる(顧客体験の統合)
- 3.2.1. 1. 会員情報の統合とポイントの共通化
- 3.2.2. 2. 「おもてなし」のデジタル再現(一人ひとりへの提案)
- 3.3. ステップ3:「リアルな場」を物流・集客に活用(在庫・販促効率化)
- 3.3.1. 1. 店頭受け取りと返品窓口の活用
- 3.3.2. 2. 「地域密着」のECプロモーション
- 4. FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス
- 4.1. Q1:小さな店舗でも、大手ECモールではなく自社ECサイトを持つべきですか?
- 4.2. Q2:実店舗のスタッフに、ECの作業も手伝ってもらうべきですか?
- 4.3. Q3:実店舗の在庫とECの在庫は、どう管理すべきですか?
- 5. まとめ【ECは「最大の営業ツール」】
通販参入の波と、店舗事業者が抱える課題
「実店舗を長年やってきたけれど、売上が伸び悩んでいる」
「コロナ禍以降、オンラインの売上の重要性を痛感しているが、何から手をつけていいかわからない」
もしあなたが、こんな悩みを抱えているなら、このコラムがお役にたてます。
お客様の行動は、「店舗だけ」や「ネットだけ」ではなく、「欲しいときに、好きな場所で買う」という形に完全にシフトしました。この変化は、店舗事業者にとって大きなチャンスですが、「ECはコストがかかる」「ノウハウがない」「大手には勝てない」といった壁にぶつかり、その一歩を踏み出せずにいる方も多いでしょう。
この記事でわかること
- 「実店舗ならではの資産」を「オンラインで勝てる明確な強み」に変える方法が明確になります。
- 大手ECモールや競合店に価格で負けず、高収益を維持しながらファンを増やすための具体的な戦略と実行ステップがわかります。
- 実店舗とECを分断するのではなく、連携させることで、売上とお客様の満足度を最大化する「顧客体験の統合」という考え方を理解できます。
店舗ビジネスがEC参入で直面する2つの壁と隠された「金の卵」
なぜ、ECでは売れないのか?
「うちの店もECサイトを作ってみたが、ぜんぜん売れない」
これは、実店舗を持つ事業者がEC参入で最も陥りやすいパターンです。その原因は、ECを「ただの販路拡大」として捉え、「実店舗の強み」をオンラインの文脈で表現できていない点にあります。
多くの店舗が直面する2つの壁は、これです。
- 「モノ」の陳列で終わっている: 実店舗の持つ「五感に訴える魅力(匂い、質感、接客)」を、ECサイトでは単なる商品写真とスペックの羅列で終わらせてしまっている。お客様は「わざわざオンラインで買う理由」を見つけられません。
- データと顧客体験の分断: 店頭でのお客様との会話や、常連様の購買履歴といった貴重な生データが、ECサイトのデータと連携しておらず、一人ひとりに合わせた提案ができていません。
誰も教えてくれない!店舗が持つECでの「金の卵」
しかし、実店舗を持っていること自体が、EC専業の企業には真似できない、圧倒的な強みとなります。私はこれを「3つのリアルな資産」と呼んでいます。
- 「触れる」という絶対的な信頼
お客様が実際に商品を見て、触れて、試せるという体験は、オンラインでは提供不可能な信頼性の源泉です。 - 「人」との関係性という財産
店頭での丁寧な接客や、顔なじみのスタッフとの会話は、単なる商品購入を超えた「ブランドへの愛着(ロイヤリティ)」を生んでいます。 - 「体験」のストーリーとコンテンツの宝庫
新しい商品の試食、ワークショップ、店主のこだわりなど、「売場」そのものがリアルなコンテンツを生み出す取材の場となっています。
この「金の卵」を、いかにECという器に移し、育てていくかが、成功の鍵になります。
実店舗の資産をオンラインで最大化する3つのステップ

実店舗を持つあなたが、EC市場で勝ち抜くための具体的なステップを3つに整理しました。このステップは、「体験のデジタル化」と「顧客の巻き込み」に重点を置いています。
ステップ1:「リアル体験」をデジタルコンテンツに翻訳する
実店舗でしか味わえない「価値」を、ECサイトで再現・増幅させるためのコンテンツに落とし込みます。これが、オンラインで「あなたの店を選ぶ理由」になります。
1. 商品開発の「裏側」を語るコンテンツ(信頼と共感の醸成)
- 強み: 店主や職人の「顔」が見えること、「こだわり」を直接伝えられること。
- 実行方法: 商品ページに、「試作の失敗談」「なぜこの食材を選んだのか」といったストーリーを、写真や動画を交えて深く語るコラム記事を設けます。これは単なる商品説明ではなく、「この店ならではの価値観」や「商品への情熱」を伝えるコンテンツとなり、お客様の**「このお店を応援したい」**という気持ちを引き出します。
2. 接客の「知識」をQ&Aやガイドに(安心感の提供)
- 強み: 現場で培った「顧客の疑問と解決策」という生きた知識。
- 実行方法: 店頭でよく聞かれる質問(「この服の洗い方は?」「このパンの美味しい温め方は?」)をFAQや「〇〇を楽しむためのガイド」として記事化します。これにより、「この店は知識が豊富で信頼できる」という評価が定着し、お客様は迷った時にあなたのサイトを専門的な情報源**として利用するようになります。
3. 視覚情報では伝えきれない「感覚」の言語化
- 強み: 触感、匂い、味わいといった五感情報。
- 実行方法: 「パリッとした歯ごたえと、口に入れた瞬間のバターの香り」のように、五感に訴える具体的な言葉を商品のキャッチコピーや説明文に盛り込みます。可能であれば、「スタッフが着てみた/食べてみた」という動画を導入し、リアルなサイズ感や質感を伝えます。
ステップ2:「顧客情報」をシームレスに連携させる(顧客体験の統合)
実店舗で得た「人」との関係性や「購買履歴」という財産を、ECで活用し、リピート購入を促します。
1. 会員情報の統合とポイントの共通化
- 実行方法: 実店舗のポイントカードや会員システムと、ECサイトの会員システムを統合します。店頭で「ECサイトで使える割引クーポン」を渡し、逆にECで購入した顧客には「店舗限定の試食会」への招待状を同梱します。
- メリット: お客様は「どこで買っても得をする」と感じ、購入チャネルを気にせずあなたのブランドを利用するようになり、結果的に生涯にわたるお付き合い(LTV)が安定します。
2. 「おもてなし」のデジタル再現(一人ひとりへの提案)
- 実行方法: 店頭で「〇〇さんがいつも買っていく」商品を覚えていたように、ECサイトでも「前回〇〇(実店舗で購入した商品)をご購入のあなたへ、今回は〇〇(関連商品)はいかがですか?」といった、実店舗での購買履歴に基づいたメールやおすすめ表示を実施します。この「あなただけの特別感」が、お客様の心をつかみます。
ステップ3:「リアルな場」を物流・集客に活用(在庫・販促効率化)
実店舗を「単なる売場」としてだけでなく、「物流のハブ」や「集客のプラットフォーム」として機能させます。
1. 店頭受け取りと返品窓口の活用
- 実行方法: 「ECで購入→店舗で受け取り」のサービスを提供します。これにより、お客様は送料無料で商品を受け取れる上、店舗に足を運ぶことで「ついで買い(クロスセル)」の機会が生まれます。お客様にとっては便利さが、お店にとっては売上の増加に繋がります。
2. 「地域密着」のECプロモーション
- 実行方法: ECサイトの発送物に、「ぜひお店にも遊びに来てください」というメッセージや、店舗へのアクセス情報を記載したリーフレットを同梱します。また、「地域のお客様限定の送料無料デー」を設けるなど、店舗の立地をECの強みとして活用します。
FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス

Q1:小さな店舗でも、大手ECモールではなく自社ECサイトを持つべきですか?
A:最終的には自社ECサイトを持つべきです。
大手ECモールは集客力が強みですが、価格競争に巻き込まれやすく、お客様のデータを自社のものにできません。一方、自社ECサイトは、あなたの「お店の世界観」を最大限に表現でき、顧客データを蓄積できます。
戦略としては、まずモールで集客とノウハウを学びつつ、自社の強みを最大限に表現できる自社ECサイトに誘導し、ファン化を進める「ハイブリッド戦略」が最も現実的です。自社サイトは、まさに「デジタルな実店舗」として育てるべきです。
Q2:実店舗のスタッフに、ECの作業も手伝ってもらうべきですか?
A:短期的な人件費削減のためでなく、「お客様との接点強化」のために役割を与えるべきです。
EC業務は受注処理や発送作業など、ルーティンワークが多いですが、「コンテンツ制作」や「お客様へのメッセージ作成」といった分野で、実店舗スタッフの接客経験や商品知識は強力な強みになります。
例えば、「商品レビューへの返信コメントを、いつも接客しているスタッフが書く」「商品の試用レポートをブログ記事にする」など、スタッフが「人」としての温かさをECに持ち込むことで、ブランドの信頼性が高まります。
Q3:実店舗の在庫とECの在庫は、どう管理すべきですか?
A:可能な限り「一元管理」を目指すべきです。
在庫の分断は、「ECで売れたのに店舗にしかない」「店舗で売れたのにECに反映されていない」という在庫切れによる機会損失やお客様の信頼を損なうトラブルの元です。
初期投資はかかりますが、POSシステムとECシステムを連携させる在庫一元管理ツールの導入を強く推奨します。これにより、お客様が「ECで在庫を確認して店舗に取りに行く」「店舗になければECから注文する」といったシームレスな購買行動が可能になり、販売機会の損失を防ぎます。
まとめ【ECは「最大の営業ツール」】
本コラムでは、実店舗を持つあなたが、通販参入で成功するための3つの戦略を解説しました。
- ステップ1:「リアル体験」をデジタルコンテンツに翻訳する
- ステップ2:「顧客情報」をシームレスに連携させる
- ステップ3:「リアルな場」を物流・集客に活用する
EC(通販)は、あなたの実店舗の弱点を補い、強みを何倍にも広げる「最大の営業ツール」です。
目の前のお客様への接客で培った「信頼」と「知識」という、EC専業他社が絶対に真似できない資産を、デジタルという器で解き放つことで、あなたのビジネスは必ず成功します。
特に、食品業界においては、EC参入の大きな目的の一つに「ギフト市場の開拓」があります。これまで実店舗で培ってきた「商品の品質」や「お客様との信頼関係」は、贈答品という感情が介在する商品と非常に相性が良いからです。
もし、あなたのビジネスにおいて、この「ギフト事業の伸び悩み」が課題の一つになっているなら、現状を客観的に把握できる無料チェックリストをご用意しました。
課題が見えることで、次の一手も明確になります。未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。
今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。
あなたのビジネスが成功することを
いつも応援しています。