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ギフト通販業界で18年、MD・バイヤーとして1,000社以上の食品会社様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。

今は、その知見を活かし中小食品会社様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。

今日は「食品通販で「売れ続ける」仕組みの作り方。短期成功の罠と「顧客資産」構築戦略」」についてお伝えします。

なぜ「売れる」だけでは事業が続かないのか?短期的成功の罠

多くの食品ネット通販事業者が最初に目指すのは「売れること」です。

これは、商品が多くの人の目に留まり、短期間で大きな売上を出す状態を指します。

特に中小食品会社にとって、大手と同じ土俵で短期的な集客競争(=売れること)に挑むのは、資金力から考えても非常に不利です。広告費が高騰し、売上は上がっても利益が残らない「消耗戦」に陥りがちです。この悪循環から脱却し、安定した成長を目指すためには、この「短期的な売上」を目標とする戦い方そのものを変える必要があります。

なぜなら、この「売れること」という短期的な成功の裏には、事業の継続を危うくするいくつかの「罠」が潜んでいるからです。

(1) 「一発屋」で終わる商品の共通点

一過性のヒット商品には、ある共通点があります。それは、トレンドや話題性、価格の安さに依存していることです。

  • トレンド依存
    SNSで話題になったスイーツが爆発的に売れても、ブームが去れば売上は急減します。

    次のブームに乗るための企画を常に打ち出す必要があり、商品開発サイクルが過酷になります。
  • 価格競争の泥沼
    「初回限定割引」「最安値」といった価格訴求は、新規顧客を呼び込むには効果的です。

    しかし、顧客は価格だけで商品を選んでいるため、競合がさらに安い商品を出すと、簡単に顧客を奪われてしまいます。

    利益率も低くなり、広告費をかけ続けることができなくなります。
  • ブランドイメージの希薄化
    プロモーション頼みの売上は、ブランドのファンを育てません。

    商品に「なぜこのお店から買うのか」という理由がなく、ただの「便利な買い物先」として認識されるに留まります。

(2) 短期的な売上を生み出すための3つの戦術とその限界

【戦術1】強烈なインパクトのある商品企画

  • 具体例
    驚くほど大きなサイズのチーズケーキ、SNS映えするカラフルなマカロン、テレビ番組で紹介された高級食材を使った限定品。
  • 成功要因
    ユーザーの好奇心や「一度試してみたい」という衝動を刺激します。特にインフルエンサーマーケティングとの相性が良く、短期間で認知度を広げられます。
  • 限界
    インパクトが薄れると、新規顧客の流入が止まります。リピートにつながらなければ、広告費を常に投下し続けるしかありません。

【戦術2】強力な広告とプロモーション

  • 具体例
    楽天やAmazonでのセール期間中のトップページ掲載、有名インフルエンサーへの商品PR、Google広告やSNS広告での大規模な集客。
  • 成功要因
    多くのユーザーに一気にリーチでき、短期間で売上を最大化できます。特に商品発売初期の認知拡大には不可欠です。
  • 限界
    広告を止めると売上が止まります。広告費は高騰し続け、利益を圧迫します。広告に頼りすぎると、顧客はブランドのファンではなく、広告のファンになってしまいます。

【戦術3】完璧な商品ページとコピーライティング

  • 具体例
    食欲を刺激する「シズル感」あふれる高解像度な写真、読者の悩みに寄り添う共感性の高いキャッチコピー、権威性を高める受賞歴やメディア掲載実績の明記。
  • 成功要因
    サイトに訪れたユーザーの購買意欲を最高潮に高め、離脱を防ぎます。
  • 限界
    ページがどんなに魅力的でも、商品そのものに価値がなければリピートは生まれません。
    あくまで「入口」を広げるための手段であり、「出口」であるリピートに直結するわけではありません。

これらの戦術は、もちろん事業の初期段階では重要です。

しかし、これらはあくまで「見込み客を集める」ための短期的な手法であり、事業を安定させるための「資産」にはなりません。

「売れ続ける」ための3つの原則と具体的な戦略

では、どうすれば「売れ続ける」ことができるのでしょうか?

それは、一時的なブームや広告に依存せず、お客様との長期的な「信頼関係」を築き、「ファン」になってもらうことに他なりません。

これは、長期的な視点での事業構築、つまり「資産」を積み上げていく作業です。

(1) 模倣されない「本質的な価値」の確立

「なぜこの商品なのか」という理由を明確にすることが、リピートに繋がる最初のステップです。

  • 味の「絶対的な保証」と品質への徹底したこだわり
    「あの味が忘れられない」「いつでも安定して美味しい」という確固たる信頼こそが、リピートの最大の理由です。


    原材料の選定、製造工程、温度管理、そして梱包に至るまで、一切妥協しない姿勢が不可欠です。

    例えば、とある老舗和菓子店は、職人が一つ一つ手作りする工程を動画で公開し、その「こだわり」
    を伝えることでファンを獲得しています。

  • 唯一無二の「ストーリー」を語る
    「〇〇さんの畑で育った特別な野菜」「先祖代々受け継がれた秘伝のタレ」など、商品に込められた物語は、お客様の心に響き、愛着を生み出します。

    ただの「モノ」として売るのではなく、背景にある「想い」を伝えることで、競合には真似できないブランド価値が生まれます。

  • 「モノ」から「コト」への価値転換
    商品単体を売るのではなく、「家族団らんのひととき」「大切な人への感謝の気持ち」といった「体験」や「物語」を売る意識を持ちましょう。

    レシピの提案、特別な日のテーブルコーディネート術など、お客様の生活を豊かにするコンテンツを発信することで、商品への愛着を深めてもらえます。

(2) 顧客との「関係性」を深めるコミュニケーション戦略

新規顧客をリピーターに、リピーターをファンに育てるための仕組みを構築します。

  • 期待を上回る感動体験の提供
    注文確認メールから商品到着まで、丁寧な対応を心がけます。

    手書きのメッセージカードを同封する、感謝の気持ちを伝えるメールを送る、配送状況を細かく連絡するなど、一つ一つのステップで「このお店は丁寧だな」と感じてもらうことが大切です。
  • パーソナルな情報発信(ステップメールの活用)
    1. 購入直後
      注文への感謝と、商品の美味しい食べ方などを記載したメールを自動で送る。
    2. 商品到着後
      「いかがでしたか?」と感想を尋ねるメールを送り、レビューを促す。
    3. 1ヶ月後
      「そろそろ食べ頃かもしれません」といった
      再購入を促すメールや、関連商品の情報を送る。


      このように、顧客の状況に合わせたメールを送ることで、お客様との接点を持ち続け、再購入のきっかけを作ります。
  • ファンコミュニティの形成
    Instagramの非公開アカウントやLINE公式アカウントのオープンチャットなどで、顧客同士が交流できる場
    を提供します。

    「〇〇を使って作ってみました!」といった投稿を促したり、新商品の開発段階で意見を募ったりすることで、お客様は「ブランドの一員」という意識を持つようになります。

(3) データに基づいた「継続的な改善」と「進化」

一度成功したからといって、そこで止まってはいけません。

顧客のニーズは常に変化します。

  • 顧客データの徹底活用
    どの商品が、いつ、誰に、どこから買われているのかを分析しましょう。

    売れ筋商品だけでなく、一緒に買われている商品や、カートに入れたまま離脱しているユーザーの傾向などを把握することで、新たな販売戦略を立てることができます。

    例えば、顧客の購入履歴から「おつまみ系をよく購入する人」と「スイーツ系をよく購入する人」にセグメント分けし、それぞれに合わせたメールを配信することで、購買率が向上します。
  • レビューやSNSの分析を商品開発に活かす
    「美味しいけど、もう少し甘さ控えめだと嬉しい」「個包装になっていると、もっと便利」といったお客様の声をデータとして捉え、商品やサービスの改善に活かします。

    ネガティブな意見は、成長のための貴重なヒントです。
  • A/Bテストの継続
    商品ページのタイトル、写真、キャッチコピー、割引率など、様々な要素を少しずつ変えて、どちらがより高い効果を生むかをテストし続けます。

    これにより、常に最適化された状態でユーザーを迎えることができます。

まとめ【あなたはどちらを目指しますか?】

「売れること」は、言わば「新規顧客獲得」のための戦術であり、短距離走です。

「売れ続けること」は「顧客資産の形成」のための戦略であり、マラソンです。

短期的な成功に惑わされず、長期的な視点で事業を構築することが、ネット通販で生き残るための唯一の道です。

特に中小の食品会社様の場合、大手のような巨額な広告費をかけることは難しいでしょう。

だからこそ、小手先のテクニックではなく、「お客様との信頼関係」という本質的な価値に徹底的にこだわるべきです。

今あなたの事業は「売れる」段階にいるでしょうか?それとも「売れ続ける」仕組みを構築し始めていますか?

最後に、あなたのネット通販事業が「売れ続ける」ための課題を見つけるための課題チェックリストをご用意しました。

ぜひ、この機会にあなたの事業の現状をチェックしてみてください。




課題が見えることで、次の一手も明確になります。
未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

あなたのビジネスが成功すること

をいつも応援しています。