
「OEMの依頼は絶えないが、現場は疲弊し、利益がほとんど残らない」
「大手からの受託製造を切ったら、工場のラインが止まって会社が潰れるのではないか」
もしあなたが、食品メーカーの経営者として、こうした「OEM(受託製造)のジレンマ」に陥っているなら、それは御社の技術力が低いからではありません。むしろ、「相手にとって都合の良い便利な工場」として、自社の価値を低く見積もりすぎている可能性があります。
食品業界において、OEMは安定した稼働を確保するための重要な手段です。しかし、原材料費や人件費がこれほどまでに高騰している今、かつての「数で回す」論理は通用しなくなっています。
私はこれまでギフト・通販業界で15年以上、バイヤーや商品企画として1,000社以上の食品会社様と向き合い、数々のヒット商品の舞台裏を見てきました
その経験から確信しているのは、「利益の出ないOEMを断る勇気」を持てないメーカーに、自社ブランドの成長も、高収益なギフトビジネスへの転換もありえないということです。
今日は、御社が「下請け的なOEM」から卒業し、自社で利益をコントロールできる強いメーカーに生まれ変わるための「判断基準」と「スマートな断り方」を、具体的にお伝えします。

この記事でわかること
・ 「継続すべきOEM」と「今すぐ断るべきOEM」を分ける、5つの客観的な判断基準が明確になります。
・ 大手や長年の取引先に対しても、角を立てずに条件交渉・辞退を行うための3ステップがわかります。
・ 不採算なOEMから卒業し、その余力で「高単価な自社ギフト事業」を軌道に乗せるための戦略的思考が身につきます。
- 1. なぜOEMは儲からない?食品メーカーが陥る薄利多売の罠
- 1.1. 「稼働率」という名の呪縛
- 1.2. OEM価格に潜む「見えないコスト」の正体
- 2. 5つのOEM撤退基準チェックリスト
- 3. 取引先との関係を壊さない「OEM辞退」の3ステップ
- 3.1. ステップ1:原価高騰を背景とした「数字の可視化」
- 3.2. ステップ2:「品質維持」を主軸にした逆提案
- 3.3. ステップ3:戦略的シフトによる「円満な卒業」
- 4. OEMの比率を下げ、利益率を3倍にした決断
- 5. FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス
- 5.1. Q1:断ったら、その会社から二度と仕事が来なくなるのでは?
- 5.2. Q2:空いたラインを埋める「ギフト事業」はすぐに収益化できますか?
- 5.3. Q3:長年の付き合いがある担当者に申し訳ないです。
- 6. まとめ【NOと言える力こそが、自社のブランドを守る】
- 6.1. 御社の「ギフト戦略」は、正しく設計されていますか?
なぜOEMは儲からない?食品メーカーが陥る薄利多売の罠
食品業界におけるOEMは、自社ブランドが育っていない時期の貴重な収益源です。しかし、これが一度「依存」に変わると、経営の自由度は急激に失われます。
「稼働率」という名の呪縛
多くの経営者が、工場のラインが止まることを極端に恐れます。「利益は薄くても、固定費(人件費や家賃)が賄えればいい」と考え、条件の悪いOEMを受け続けてしまうのです。
しかし、冷静にシミュレーションしてみてください。 利益率が極めて低いOEMを回すために、現場のスタッフは残業し、機械は摩耗し、経営者は資金繰りに奔走する。この「忙しさ」のせいで、本来取り組むべき「高単価な自社ギフト商品の開発」に割く時間が奪われているとしたら、それは目に見えない大きな損失(機会損失)です。
OEM価格に潜む「見えないコスト」の正体
OEMの価格交渉で、原材料費だけを見ていませんか?
- 度重なる試作のコスト(人件費・材料費)
- 発注元からの細かい品質管理要求への対応
- 急な増産・減産によるシフト調整の負担
- 指定伝票や特殊な物流ルールへの対応
これらを全て加味した「真の原価」を算出したとき、驚くほど赤字に近い案件が放置されているのが、多くの中小食品メーカーの現実です。
5つのOEM撤退基準チェックリスト
感情や「義理」ではなく、会社の存続をかけた「経営判断」として、以下の5つの基準で現在のOEM案件を評価してみてください。
- 貢献利益率が20%を割り込み、改善の余地がない
- どれだけ数をこなしても、会社の成長資金(投資に回せるお金)が残らない案件は、もはや「経営」ではありません。
- 「御社の技術力」ではなく「安さ」で選ばれている
- 「他社さんはこの値段でやると言っている」という言葉が頻繁に出る取引先は、いつでも御社を切り捨てる準備ができています。
- 付帯業務が異常に多く、現場が疲弊している
- 製造以外の「調整」や「事務作業」に時間を取られ、現場の士気が下がっているなら、それは会社の組織力を削り取っています。
- 自社ブランド商品の「競合」を自ら作らされている
- 自社の看板商品と類似したものを安価なPB(プライベートブランド)として受託し、自社商品のシェアを食っている場合、それは自負するブランドの寿命を縮めています。
- 将来の「相互発展」が見込めない
- そのOEMを通じて新しい技術が習得できるわけでもなく、販路が広がるわけでもない。ただの「作業の切り売り」になっている。
- そのOEMを通じて新しい技術が習得できるわけでもなく、販路が広がるわけでもない。ただの「作業の切り売り」になっている。
判定の目安: 3つ以上当てはまる場合、その案件は御社にとって「卒業すべき案件」です。
取引先との関係を壊さない「OEM辞退」の3ステップ
「断る」ことは、喧嘩をすることではありません。プロフェッショナルとして、「これ以上の条件では、御社に責任ある商品供給ができない」と誠実に伝えるプロセスです。
ステップ1:原価高騰を背景とした「数字の可視化」
「なんとなく厳しい」ではなく、具体的な数字を提示します。
「昨今の原材料費〇%、エネルギーコスト〇%の高騰により、従来の単価では製造原価を維持することが不可能な段階に達しました。弊社としても最大限の努力をいたしましたが、このままでは品質の劣化や納期遅延を招く恐れがあります」
ポイント: あくまで「品質と安定供給を守るため」という、発注元にとっても無視できないメリットを理由にします。
ステップ2:「品質維持」を主軸にした逆提案
「品質を落とさずに継続するには、単価を〇円に改定させていただく必要があります」
「あるいは、製造工程を見直し、〇〇の仕様を簡略化することでコストを抑える提案も可能です」
これで相手が「一切のコストアップも、仕様変更も認めない」と答えるなら、それはビジネスパートナーとしての拒絶です。この時点で、御社が「断る」正当な理由が成立します。
ステップ3:戦略的シフトによる「円満な卒業」
このように、「自社の経営戦略の変更」を理由にすれば、相手の体面を保ちつつ、円満に離脱することができます。
OEMの比率を下げ、利益率を3倍にした決断
私が以前バイヤーとして業界に従事していた際、ある水産加工メーカー様から伺ったお話です。
そのメーカー様は、売上の8割を大手チェーンのOEMが占めていました。利益率はわずか2〜3%。社長は「ラインを止めるのが怖い」と、赤字寸前の条件を飲み続けていました。
転機は、思い切ってそのOEMを「半分に絞る」と決めたことでした。 もちろん、最初は売上が大きく落ち込みましたが、空いたラインと時間を使って取り組んだのは、自社のこだわりを詰め込んだ「高級ギフト商品」の開発でした。
OEMでは許されなかった「贅沢な素材使い」や「こだわりのパッケージ」を採用し、1セット5,000円以上のギフトとして販売したところ、利益率は一気に30%を超えました。 「売上は以前の6割になったが、手元に残る利益は3倍になった」というこの事例は、「断る勇気」が会社を救うことを証明しています。
FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス
Q1:断ったら、その会社から二度と仕事が来なくなるのでは?
A:その通りです。しかし、それは「良い決別」です。 利益の出ない仕事を二度と持ってこないようにすることが、今回の目的です。一方で、御社が「適正価格で高品質なものを作る」という姿勢を貫けば、本当に価値を求める別のバイヤーから「信頼できるパートナー」として声がかかるようになります。
Q2:空いたラインを埋める「ギフト事業」はすぐに収益化できますか?
A:仕組みさえ整えれば、OEMよりはるかに早く利益が出ます。 OEMは数を作らなければ利益が出ませんが、ギフトは「付加価値」で利益を作ります。既存の製造技術を活かし、適切なMD設計(商品構成)を行えば、最小限のロットで高収益な事業の柱を構築することが可能です。
Q3:長年の付き合いがある担当者に申し訳ないです。
A:本当の誠実さとは、会社を存続させることです。 無理な受注を続けて会社が倒産し、供給が止まることこそが、相手にとって最大の不利益です。「長くお付き合いしたいからこそ、健全な取引条件に誠実に交渉する」のが、プロとしての誠実さです。
まとめ【NOと言える力こそが、自社のブランドを守る】
下請け仕事や不採算なOEMの「断り方」を身につけることは、御社の誇りと技術、そして従業員の未来を守るための「防波堤」を築くことです。
- 「稼働率」ではなく「利益額」を経営の指標にする。
- 5つの基準で不採算な案件をシビアに仕分ける。
- 数字と戦略的理由を持って、誠実かつ毅然と交渉する。
- 空いたリソースを、自社主導の「ギフト事業」へ全投入する。
このステップを踏み出すことで、御社は「下請け」という立場を卒業し、自社の価値を世界に問う「ブランドメーカー」へと進化できるはずです。
御社の「ギフト戦略」は、正しく設計されていますか?
御社の「ギフト戦略」は、正しく設計されていますか?
「良いものを作っているのに、なぜか手元に利益が残らない……」
その原因は、現場の努力不足ではなく、「売り方の根本=ギフト戦略の設計」のどこかに、致命的な「ズレ」が生じているだけかもしれません。
今回お伝えした考え方はもちろん、「価格設定は適正か?」「独自の強みを言語化できているか?」といった、ギフトビジネスを成功させるために不可欠な10個の視点。これらを客観的に判定するための「ギフト課題チェック」をご用意しました。
3分ほどの簡単なチェックで、自社では気づきにくい「売れない原因」や「改善の糸口」を可視化できます。
回答いただいた方には、私のギフト・通販業界での現場経験に基づき作成した「個別診断レポート」と「改善ヒント付きの無料小冊子」をメールでお届けします。
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未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたのギフトビジネスが着実な成果に繋がることを、心より願っています。

