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ギフト通販業界で18年、MD・バイヤーとして1,000社以上の食品会社様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。

今は、その知見を活かし中小食品会社様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。

今日は「食品ギフトの「売れない」解決!ファン化に効くカスタマージャーニー設計」について、お伝えします。

「カスタマージャーニー」とは何か?なぜ今、重要なのか?


「カスタマージャーニー」と聞くと、難しく感じるかもしれません。

簡単に言うと、「お客様が、あなたのブランドを知り、購入し、そしてファンになるまでの全過程」を「旅」
として可視化することです。

お客様は、ある日突然あなたのサイトに来て、商品を買うわけではありません。

  • SNSであなたのブランドを知り、「いいね」を押す。
  • 別の日に検索し、サイトを訪問する。
  • 商品レビューを読んで、購入を検討する。
  • そして、購入に至る。

これらのすべての行動、そしてその時に抱く「感情」や「思考」を時系列で地図(ジャーニーマップ)のように整理するのが、カスタマージャーニー設計です。

なぜ、この「旅の地図」が重要なのか?

今、この地図が不可欠な理由は、以下の3つです。

  1. お客様の「本音」が見える: どこで迷っているか、どこで感動しているか、どこで離脱しているか、お客様の心の動きが手に取るようにわかります。

  2. チーム全体の共通認識が生まれる: マーケティング、商品企画、カスタマーサポートなど、部署を超えて「お客様が今、どう感じているか」を共有できます。これにより、施策に一貫性が生まれます。

  3. ボトルネック(課題)が明確になる: 「サイトにアクセスは多いのに、購入につながらない…」といった原因不明の課題も、ジャーニーマップを見れば、「商品ページの情報が不足しているからだ」とすぐに特定できます。

特にギフト商品は、贈る側と受け取る側の感情が複雑に絡み合うため、この地図がないとお客様の心を読み解くことはできません。

食品ギフトに特有のカスタマージャーニー

一般的な商品と異なり、食品ギフトのジャーニーは特殊です。

それは、「購入者」と「使用者(受け取る人)」が異なるという点です。

この2つの異なる感情の「旅」を理解することが、食品ギフトビジネス成功の鍵となります。

(1) 購入者のジャーニー:不安と期待の「旅」

購入者は、「相手に喜んでもらえるだろうか?」という
強い不安と、「きっと喜んでくれるはずだ!」という期待を抱きながら、旅を進めます。

  • 不安の解消: 「この商品は、本当に相手の好みに合うだろうか?」「ちゃんとしたお店だろうか?」
  • 期待の担保: 「贈ったら、きっと喜んでくれるはず」「驚かせたい!」

この不安を一つひとつ取り除き、期待を最大限に膨らませることで、購入者は迷いなく「購入」というゴールに向かいます。

(2) 使用者(受け取る人)のジャーニー:驚きと感動の「旅」

一方、商品を受け取る人は、
「何が入っているんだろう?」という驚きから始まり、
「贈ってくれてありがとう!」という感動へと進みます。

  • 驚きの演出: 「開封した瞬間にどんなサプライズがあるか?」
  • 感動の創出: 「こんなにこだわりのある商品なんだ」「贈り主の気持ちが伝わってくる」

受け取る人が感動することで、その感動は贈り主にも伝わり、「このお店でまた買いたい」という強いリピート動機につながります。

カスタマージャーニー設計の具体的なプロセス

ここからは、実際にカスタマージャーニーを設計
するための具体的なプロセスを解説します。

このプロセスは、あなたのブランドの現状を客観的
に見つめ直し、成長のための具体的な戦略を立てる上で不可欠です。

【STEP 1】 ペルソナを深く掘り下げる

「誰に」届けたいか、という理想のお客様像(ペルソナ)を深く掘り下げます。

  • 基本情報: 年齢、性別、職業、居住地、年収
  • ライフスタイル: 趣味、休日の過ごし方、SNSの利用頻度
  • ギフトに関する行動: どんな時にギフトを探すか、予算、重視する点(見栄え、価格、品質など)
  • 悩みと感情: ギフト選びでどんなことに悩んでいるか?(「センスがないと思われたくない」など)

ペルソナが具体化されるほど、その人の感情の動きを正確に予測できるようになります。

【STEP 2】 旅のフェーズを設計する

お客様の「旅」を、以下のフェーズに分解します。

  1. 認知(Awareness): お客様があなたのブランドを初めて知るフェーズ。
  2. 検討(Consideration): 複数の選択肢の中から、あなたのブランドを検討するフェーズ。
  3. 購入(Purchase): 実際に商品を購入するフェーズ。
  4. 体験(Experience): 商品を受け取り、実際に使用するフェーズ。
  5. 愛着(Loyalty): ブランドのファンとなり、リピーターや推奨者になるフェーズ。

この5つのフェーズは、すべてのカスタマージャーニーの基本となります。

【STEP 3】 ジャーニーマップを作成する

ペルソナとフェーズを組み合わせ、縦軸に「フェーズ」、横軸に「お客様の行動」「感情」「思考」「課題」「タッチポイント(ブランドとの接点)」などを設定して、地図を作成します。

【マップの例】

フェーズ行動思考(お客様の本音)感情課題タッチポイント
認知Instagramで友人の投稿を見る「最近、あの人にお礼してないな。何か気の利いたものないかな?」ぼんやり、関心候補がないInstagram
検討「気の利いたお菓子 ギフト」で検索「見た目がおしゃれなものがいいな。でも、変なものだと嫌だし…」迷い、不安どの商品が良いか分からないGoogle検索、レビューサイト
購入商品レビューを見て、サイトで購入を決める「これなら相手も喜んでくれるはず!」「ちゃんと期日に届くかな?」期待、少しの不安注文が面倒ECサイト(商品ページ、カート)
体験届いた商品を、相手が開封する「わぁ、素敵!こんなに丁寧な梱包なんだ」驚き、感動-同梱物、商品
愛着贈り主から「ありがとう」と連絡が来る「このお店、次も使いたいな。今度は自分用に買ってみようかな」喜び、信頼-再度サイト訪問、SNSフォロー

このように、ジャーニーを可視化することで、どこに課題があるかが一目瞭然になります。

旅のフェーズごとの「成功戦略」

作成したジャーニーマップに基づいて、それぞれのフェーズで最適な施策を講じることで、お客様を「購入」そして「ファン」というゴールへ導くことができます。

【フェーズ1:認知】

お客様に「旅の入り口」に立ってもらうためのフェーズです。

  • SEO(検索エンジン最適化): 「お礼 ギフト おしゃれ」など、お客様が検索するキーワードで上位表示を目指します。

  • SNSマーケティング: Instagramで美しい写真や動画を投稿し、ブランドの世界観を伝えます。ターゲット層が共感するインフルエンサーとのコラボも有効です。

  • コンテンツマーケティング: 「贈る相手別のギフト選びのコツ」など、お役立ち情報をブログで発信し、潜在顧客を惹きつけます。


【フェーズ2:検討】

お客様の不安を解消し、購入を後押しするためのフェーズです。

  • 商品ページの充実: 商品写真だけでなく、原材料、製法、生産者の想いなど、こだわりを詳しく記載します。

  • レビューの活用: 実際に購入したお客様のレビューを商品ページに掲載し、信頼性を高めます。


  • よくある質問(FAQ): 配送、賞味期限、アレルギー情報など、お客様が疑問に思うことを先に回答しておくことで、不安を取り除きます。


【フェーズ3:購入】

お客様がストレスなく、安心して購入できるためのフェーズです。

  • 決済方法の多様化: クレジットカード、代引き、後払いなど、お客様が使い慣れた決済方法を複数用意します。

  • 配送情報の明確化: 配送日時指定、ギフトラッピング、メッセージカードのオプションなどを分かりやすく提示します。

  • 購入後の確認メール: 「ご注文ありがとうございます」といった定型文だけでなく、「心を込めて準備します」といった一言を加えるだけで、お客様は安心感を得られます。


【フェーズ4:体験】

「最高のギフトを贈ってよかった!」と感じてもらうためのフェーズです。

  • 同梱物の設計: 感謝の気持ちを伝える手書きのメッセージカード、商品の物語を伝えるブランドブック、より美味しく食べてもらうためのレシピカードなどを同梱します。

  • 梱包の工夫: 商品が届いた瞬間に感動してもらうため、丁寧な梱包や、華やかな緩衝材を使います。

  • アフターフォロー: 商品到着後、数日経ってから「お届けした商品はいかがでしたか?」といったフォローメールを送ることで、ブランドへの好感度が高まります。


【フェーズ5:愛着】

お客様を「リピーター」そして「熱狂的なファン」にするためのフェーズです。

特別感の演出: リピーター限定のクーポンや、シークレットセールのご案内など、特別感を演出することで、お客様は「このブランドは私を大切にしてくれる」と感じ、より愛着を持つようになります。

メールマガジン: 単なるセール情報だけでなく、新しい商品の開発秘話や、レシピの紹介など、お客様が喜ぶ情報を提供し、定期的な接点を持ちます。

SNSコミュニティ: SNS上でお客様と積極的に交流し、ブランドのファンコミュニティを形成します。

カスタマージャーニー設計のポイント

多くの成功ブランドが共通して実践しているカスタマージャーニー設計のパターンを、具体的な例を交えながら解説します。

ストーリーと体験を重視するフルーツブランド

  • 課題: 季節限定のフルーツは一度買えば終わりになりがちで、リピーターが少ない。
  • ジャーニー設計
    • 認知: 自社のSNSで、生産者が畑でフルーツを育てる過程や、収穫の喜びを写真や動画で発信。これにより、単なる商品ではなく「生産者の想い」に共感した層が自然と集まります。

    • 体験: 届いた箱を開けると、フルーツと一緒に生産者の顔写真とメッセージ、そして「一番おいしい食べ頃」を伝えるリーフレットを同梱。単なる食品を贈るのではなく、「最高の状態で味わう体験」を提供します。

    • 愛着: 購入者には、次のフルーツの収穫時期や、新作の情報などを定期的にメールで案内。お客様が「次もこのお店で買いたい」と自然に感じる関係性を築きます。

  • 得られる効果: 商品の背景にある物語がお客様の共感を呼び、新規顧客獲得コストを抑えながらも、リピーターの獲得に成功します。

利用シーンとアフターケアをデザインするスイーツブランド

  • 課題: メディアで話題になり一時的に売上が伸びても、ブームが去るとリピート購入につながらない。
  • ジャーニー設計:
    • 検討: 商品ページに「母の日のギフトに」「大切な方への手土産に」といった、利用シーンごとの提案コンテンツを追加。お客様が「どんな時に贈ればいいか」を具体的にイメージできるようにします。

    • 体験: 商品と一緒に、きれいに盛り付ける方法や、コーヒーや紅茶とのペアリングのアイデアをまとめた「おもてなしガイド」を同梱。お客様は、単にスイーツを食べるだけでなく、「特別な時間」を演出することができます。

    • 愛着: お客様がSNSに感想を投稿すると、ブランドのアカウントから丁寧に感謝の言葉を返信します。この「お客様との対話」を通じて、ブランドへの愛着や信頼感が深まり、お客様は「ただの消費者」から「ファン」へと変わります。

  • 得られる効果: 購入後の体験価値を高めることで、お客様の満足度が向上します。お客様との継続的なコミュニケーションにより、ブランドへの信頼が高まり、リピーターの増加につながります。


まとめ【「旅」をデザインすることが「売れ続ける」秘訣】

「売れる」ギフトは、単に商品が良いだけではありません。

「お客様の感情の旅」をどれだけ深く理解し、その一つひとつの接点で「期待を上回り、感動を与える」ことができるかどうかにかかっています。

  • 競合との差別化: 価格や商品だけでは差別化できません。お客様の感情に寄り添うジャーニー設計こそが、他社には真似できない独自の価値を生み出します。

  • リピーターの育成: 旅の各フェーズで感動を与え続けることで、お客様は単なる顧客ではなく、熱心なファンへと変わります。

  • ブランドの成長: ジャーニーマップを見れば、どこに課題があるかが一目瞭然です。効率的に施策を改善し、ブランドを成長させることができます。

もし、今「うちのブランドは、どこに課題があるのか?」と感じているなら、それはカスタマージャーニーという地図がないからかもしれません。

最後に、ギフト事業の現状を見える化する無料チェックリストをご用意しました。
現状の課題をしてみませんか?


課題が見えることで、次の一手も明確になります。
未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

あなたのビジネスが成功すること

をいつも応援しています。