「売上はそこそこあるのに、なぜか手元に現金が残っていない」

「原材料も人件費も上がっているのに、値上げできない」

「いいものを作っている自負はある。でも、安売りしなければ動かない」

もしあなたが従業員30人以下の中小食品メーカーの経営者なら、この悩みは「努力不足」のせいではありません。戦う場所、つまり「出口戦略」を間違えているという、極めて深刻な構造的問題が原因です。

私はこれまでギフト通販業界で18年間、バイヤーとして1,000社以上と商談をし、膨大な数の「商品が選ばれる瞬間」と「切り捨てられる瞬間」を最前線で見続けてきました。現在はその知見を活かし、中小食品メーカー様のギフト事業を“売れる仕組み”へと再構築する伴走支援を行っています。

いわば、「買い叩く側の論理」と「作って売る側の苦悩」の両方を、誰よりも現場で見てきた人間です。

今日は、なぜ今、30人以下のメーカーこそが「ギフト」を経営の柱に据えなければならないのかをお伝えします。読み終える頃には、あなたが明日からどの商品を、誰に、いくらで売るべきか、その答えが明確に見えているはずです。

目次


この記事でわかること

1 バイヤーに買いたたかれる「根本的な構造」を理解し、なぜ従業員30人以下の規模が「日常品」の市場で苦戦するのか、その理由がわかります。

2 「非効率」を武器に変える戦略を学び、小規模メーカーだからこそ実現できる「高単価・高利益」なギフトビジネスの勝ち筋が明確になります。

3 原価からの積み上げではない価格設定法を知り、原材料高騰に負けない「価格決定権」を自社に取り戻すための具体的なステップが理解できます。

「いいものを作れば売れる」という幻想が会社を蝕む


まず、認めなければならない残酷な事実があります。現代の日本において「美味しい」「こだわりの原料」は、もはや価値ではなく「最低条件」です。

私がバイヤー時代、ある地方の菓子メーカーから「うちのクッキーは、地元産の高級バターをたっぷり使っていて、どこにも負けない風味なんです」という熱心な提案を受けたことがあります。しかし、当時の私の返答は、今思えば冷徹そのものでした。

「それで、そのクッキー、大手メーカーの1.5倍の価格設定ですよね。他社より1円でも安くできる提案はありますか? なければ、お取り扱いできません」

これが、通常のECモールのような「自家需要(自分たちで食べるもの)」市場のリアルです。

消費者は自分の財布から出す1円を惜しみます。その土俵にいる限り、バイヤーは「代替品(もっと安いもの)」を常に探し続けます。大手が1分間に1,000個作る商品を、御社が手塩にかけて1時間に100個作っているとしたら。同じ「日用品」として並べた瞬間、御社の利益は消滅します。

しかし、ギフト市場において、消費者の心理は劇的に変わります。自分のためには買わない5,000円の詰め合わせを、大切な人への「外さない贈り物」としてなら、納得して購入します。

この「感情で動く市場」こそ、30人以下のメーカーが最も輝く場所なのです。

現場で見た「小規模メーカーがギフトに適している」3つの構造的理由


なぜ「30人以下」という規模が、ギフトビジネスにおいて最強の武器になるのか。

「非効率」がプレミアム価値に直結する

大手企業は、ギフトのような多品種少量の生産を嫌います。

生産ラインを止めて箱や包装を変えるコストが大きすぎるからです。

一方で、御社のような規模なら、季節に合わせて中身を少し入れ替える、特別なメッセージカードを添えるといった「手間」を柔軟に取り入れることができます。この「大手にはできない面倒なこと」こそが、ギフトにおける「プレミアム感」の正体です。

社長の「顔」と「哲学」が最大のブランドになる

私はこれまで1万社以上の食品メーカーのホームページを一つひとつ調べてきました。正直に申し上げれば、そのほとんどは情報が古かったり、強みが伝わらなかったりと、ろくに機能していないのが現実です。

しかし、その中で輝きを放っている一握りのメーカーには、共通点がありました。そこには「社長の想い」や「職人のこだわり」という、血の通ったストーリーが明確に存在していたのです。

大手のサイトがどこか無機質なカタログに見えるのに対し、小規模でも成功しているメーカーは「なぜこの商品を作っているのか」という背景を、贈る側の心に響く言葉で伝えています。

ギフトを贈る人は、「間違いのない、信頼できる人から買いたい」と考えます。御社の規模で、かつ社長の哲学が伝わる「顔が見える安心感」は、ギフト市場において何物にも代えがたい最強のブランドになります。

在庫リスクとキャッシュフローの劇的な改善

自家需要の商品は、常に欠品が許されず、常に在庫を抱え続けなければなりません。しかし、ギフト、特に予約型のプレミアムギフトであれば、需要をある程度予測し、計画的に製造することが可能です。これは、リソースが限られた小規模メーカーにとって、経営の安定化に直結します。


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「自家需要」から「ギフト」への転換で高利益体質に変わる仕組み



ここで、業界で起きている「構造的な転換」の典型的なパターンをご紹介します。ある一つの気づきから価格競争を脱出し、高利益体質へと生まれ変わった事例です。

かつて、地元のスーパーへの卸がメインだったある瓶詰め食品メーカーがありました。社長は毎日のように取引先から「特売を打つから原価を下げろ」と迫られ、利益率は5%を切る寸前。工場はフル稼働なのに、従業員に還元する余裕もない状態でした。

彼らが取り組んだのは、中身の製法を大きく変えることではありませんでした。「日常の食卓の彩り」として売っていた商品を、「離れて暮らす親への、身体を労わる贈り物」へと再定義したのです。

単体で安売りされていた瓶詰めを、3本、5本のセットにし、それぞれの食材が持つ健康への寄与を記した「手書き風のしおり」を同封。パッケージを安価なプラ容器から、ギフトに耐えうる意匠を凝らしたデザインへと刷新しました。

結果、どうなったか。それまで1個500円で「高い」と言われていた商品が、ギフトセットとして3,500円、5,000円で飛ぶように売れ始めました。贈る側にとって、それは「ただの食品」ではなく「親への敬意と感謝を伝えるツール」に変わったからです。

この転換により、無理な値下げ要求に振り回される場面が減り、自社で価格決定権を握ることで利益率を大きく改善させることができました。

もちろん、企業ごとに置かれた状況は千差万別ですが、これは中小メーカーが閉塞感を打破するための、極めて有効な「正解のひとつ」であると私は確信しています。

小規模メーカーが「ギフトの主導権」を握るための3つの具体策

従業員30人以下の体制を「弱点」ではなく「最強の参入障壁」に変えるために、明日から着手すべき3つの戦略を提示します。

「不器用なこだわり」をプレミアムな体験に昇華させる

大手企業が機械で均一に作る1万個の商品と、御社が人の手を介して作る100個の商品。これを同じ「日用品」として売るから、価格競争に巻き込まれるのです。

小規模メーカーがまずやるべきは、製造工程でどうしても生じる「手間」や「時間」を、ギフトとしての「希少性」に変換することです。

「1日にこれだけしか作れない理由」を、贈る相手への誠実さとして言語化してください。それは効率を優先する大手には逆立ちしても真似できない、強力な独自性になります。



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贈る側の「外したくない」という不安を解消する「専門性」の提示

ギフトを贈る人は、常に「相手に喜ばれるだろうか」「失礼はないだろうか」という不安を抱えています。

ここで、30人以下のメーカーだからこそできるのが、社長自らが「この商品は、こういう方に、こうやって贈るのが最も喜ばれます」と直接提案することです。

大手のような「誰にでも合う万能ギフト」ではなく、特定の不安をピンポイントで解消する専門性を打ち出してください。

「原価の積み上げ」を捨て、「相手との関係性」で価格を再定義する

「原材料がこれくらいだから、売価はこれくらい」という思考(コストプラス法)を一度リセットしましょう。ギフトの本質は、モノを売ることではなく「贈る側と受け取る側の関係性を円滑にする」ことにあります。

「疎遠になっていた親への、感謝を伝えるきっかけ」という価値に対し、顧客はいくら払うのか。その視点から逆算して価格を決める「バリューベース価格設定」へ移行してください。

30人以下の規模であれば、一律の価格表に縛られず、提供する価値に合わせた強気な価格設計が可能です。


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御社は「30人以下の強み」を活かせていますか?

小規模メーカーが「ギフトで勝てる体質」になっているか、以下の5つの質問に、心の中で答えてみてください。

1.「大手企業の類似品」を意識して、自社の価格を安く設定し直していませんか? (もしそうなら、まだ「日用品」の土俵で戦っています)

2.社長のこれまでの苦労や、商品に込めた「想い」が、HPに自身の言葉で書かれていますか? (整った言葉より、魂の乗った言葉の方がギフト客の心は動きます)

3.「箱を開けた瞬間」の驚きを演出するために、自社でしかできない「ひと手間」を加えていますか? (一筆箋を入れる、包装の結び方を変えるなど、小規模だからこそできる工夫が価値になります)

4.お歳暮・お中元といった「形式的な贈答」ではなく、顧客の「個人的な記念日」を把握し、そこへ提案するルートを持っていますか? (顧客と直接繋がれる規模を活かし、通年での安定収益を狙うための必須条件です)

5.バイヤーに対し、「これはうちの自信作なので、安売りするならお取引できません」と毅然と言える、自社ECという「逃げ道」を持っていますか? (これこそが、小規模メーカーが価格決定権を取り戻すための最強の防具です)


FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス



Q1:少人数の現場で、ギフトのような「手間のかかること」に対応できるか不安です。

A:だからこその「高単価設計」です。安売り商品を1,000個さばく労力と、付加価値を高めたギフトを100個丁寧に届ける労力、どちらが御社の職人さんを疲弊させず、利益を残せるかを考えてみてください。ギフト化は、単なる売上アップではなく、現場の「ゆとり」を生むための仕組みづくりなのです。

Q2:有名なブランドではないうちの商品でも、ギフトとして選ばれるのでしょうか?

A:むしろ「知る人ぞ知る、誠実なメーカー」を探している贈答客は増えています。大手の最大公約数的な商品に飽きている層に対し、30人以下の規模だからこそ出せる「限定感」や「作り手の顔が見える安心感」は、今の時代、最強のブランド要素になります。

Q3:取引先との長年の付き合いがあり、ギフトに特化して関係が悪くなるのが怖いです。

A:ギフト化は、卸先を捨てることではありません。むしろ「他店にはないプレミアムなギフト商品を持っているメーカー」になることで、取引先から「ぜひ扱わせてほしい」と頼まれる存在を目指します。媚びる関係から、パートナーとしての関係へ。自社に主導権を取り戻すのがこの戦略の本質です。

まとめ【30人以下のメーカーが「ギフト」を主軸にすべき3つの要点】



従業員30人以下のメーカーにとって、ギフト化は単なる「売上アップの手段」ではなく、「会社の尊厳を守り、適正な利益を確保するための生存戦略」です。

1.「非効率」をブランドに変える勇気を持つ

2.特定の不安を解消する「専門家」として振る舞う

3.原価ではなく「届ける価値」から価格を逆算する

大手と同じ土俵で「安さ」を競う必要はありません。御社にしかできない「手間」を価値に変え、それを必要とするお客様に正当な価格で届ける。これこそが、小規模メーカーが生き残るための、極めて有力な「正解のひとつ」です。

御社の商品を「安売りの対象」から「感動を届けるギフト」へと昇華させる作業を今日からはじめてください。

御社の「ギフト戦略」は、今の規模に最適化されていますか?

「良いものを作っているのに、なぜか手元に利益が残らない……」 その原因は、現場の努力不足ではなく、「売り方の根本=ギフト戦略の設計」が、30人以下の強みを活かせていないだけかもしれません。

今の御社の商品が、どの程度「ギフトとしての勝ち筋」を持っているのか。それを客観的に判定するための「ギフト課題チェック」をご用意しました。

3分ほどの簡単なチェックで、自社では気づきにくい「売れない原因」や「改善の糸口」を可視化できます。

回答いただいた方には、さらに踏み込んだ「個別診断レポート」と「改善ヒント付きの無料小冊子」をメールでお届けします。主導権を握る経営にシフトするための第一歩として、ぜひ現状を客観視するツールとしてご活用ください。


課題が見えることで、次の一手も明確になります。
未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

あなたのビジネスが成功することを
いつも応援しています。