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ギフト通販業界で18年、バイヤー・商品企画として
1,000社以上の食品会社様とお取引を重ね、
数々のヒット商品を手がけてきました。

今は、その知見を活かし中小食品会社様のギフト
事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。

今日は「中小食品メーカーの失敗しないネット通販参入3ステップ」と、失敗しないための重要ポイントについてお話しします。

目次

あなたが抱えるネット通販への不安と課題


ネット通販市場が拡大しているのは分かっている。でも、いざ始めようとすると、こんな不安が頭をよぎるのではないでしょうか。

  1. システムと初期投資の不安
    モール出店が良いのか、自社ECサイトが良いのか?システム選びや初期費用、梱包・発送の手間とコストが全く想像できない。

  2. 集客と競争の不安
    ネット市場には大手企業がひしめき合っている。知名度のない自社の商品が、どうすればお客様に見つけてもらえるのか、そして価格競争に巻き込まれないか心配。

  3. 利益と運用の不安
    ECサイトを作っても、在庫管理や問い合わせ対応、広告費用などで、結局手間ばかりかかって利益が出ないのではないか?

この不安を解消しないと、せっかくの素晴らしい商品や技術が、ネット通販という巨大な販路で埋もれてしまい、ビジネスチャンスを逃してしまいます。

この記事でわかること

  • 立ち上げのロードマップ
    ゼロから始めても迷わない、最初の「戦略設計」「環境整備」「情報設計」という3ステップの実行プランが分かります。
  • 失敗しないための知恵
    小企業が陥りがちな失敗事例と、大手との競争を避け、ファンを増やすための戦略的な考え方が身につきます。
  • すぐに行動できる準備
    初期投資や運用でつまずかないためのチェックリストと、よくある疑問への回答(Q&A)で、次のアクションが明確になります。


なぜ今、自社ECサイトを優先すべきなのか?

ネット通販の市場は、製造のプロであるあなたが思っている以上に、お客様と直結する「情報と信頼」のビジネスへと変化しています。

EC市場の現状と小売業態の変化

日本のBtoC-EC市場規模は、2023年度で約22.7兆円に達しており、「食品、飲料、酒類」の分野は消費者の日常的な購買習慣として定着しました。(※経済産業省データより

この変化が意味するのは、「お客様が、あなたの会社を直接見つけて、買いたいと思っている」ということです。

  • 従来の小売依存のリスク:従来の卸・小売に依存した販売チャネルは、市場の変化や災害の影響を受けやすく、価格決定権も握られがちでした。
  • ECの最大のメリット:自社でECを持つことは、販路の多角化だけでなく、お客様と直接つながる(D2C)ことで、商品の価値や想いを正しく伝え、利益率を改善するための強力な手段となります。

製造のプロが陥りがちなECの「落とし穴」と教訓

製造のプロである中小食品メーカーがEC事業でつまずく主な理由は、「製造業の論理」をそのままECに持ち込んでしまう点にあります。

  • 落とし穴(1)
    ECを単なる「倉庫」と考える 「とりあえずモールに商品を並べれば売れる」と考えるのは危険です。ECは「24時間営業の、情報発信基地」です。お客様が商品を見つけ、購入に至るまでの「情報設計」ができていなければ、埋もれてしまいます。

  • 落とし穴(2)
    初期投資の基準が曖昧 「高額な制作会社に依頼すれば安心」と、高すぎる初期投資をしてしまい、集客のための資金が底をつくケースが多く見られます。ECは「サイトを作ってからが本番」です。運用と集客に資金を回すためにも、初期費用は極力抑えるべきです。

ネット通販は、「誰に、何を、どう伝えるか」という戦略と、「お客様との繋がり」を構築するコミュニケーションが成功の鍵を握ります。


中小メーカーが活かすべき「独自性」

中小企業がネット通販で成功するためには、大手と同じ土俵で「価格」を争わず、「独自の強み」を活かす戦略が必要です。

失敗事例:「美味しさ」だけを伝えたC社

【C社の状況】
こだわりの製法で作られた高級プリンメーカー。

【失敗した理由】
「究極の美味しさ」だけを訴求し、特定のペルソナを設定しなかったため、幅広い競合商品の中に埋もれました。さらに、クール便代が高くつくにもかかわらず、配送料金を安く設定してしまい、売れるほど赤字になるという致命的なミスを犯しました。

【教訓】
商品の価値だけでなく、コスト計算と利益設計はEC事業の生命線です。また、「美味しさ」だけでは競争に勝てず、「なぜ、このプリンを贈るのか(贈られるのか)」という感情的な理由が必要でした。

成功事例:ニッチな「不満」を解決したD社

【D社の状況】
地方の小さな加工食品メーカー。主力商品はご飯にかける「ふりかけ」。

【成功した理由】
ターゲットを「子どもの食事が偏りがちな働く母親」に設定。この母親の「簡単・便利・栄養の悩み」に焦点を当てました。商品の機能(例:国産、無添加)ではなく、「野菜嫌いな子どもが、これならパクパク食べる」という「問題解決の体験」を前面に訴求。自社ECサイトでは、「時短レシピ」や「栄養士のコラム」を発信し、専門性と信頼性を確立。広告に頼らず、口コミと検索からの流入でファンを増やしました。

【教訓】
お客様の「心の声」、特に「不満」や「悩み」を解決する商品こそが、ネット通販では強く求められます。単なる商品ではなく、「問題解決という価値」を提供することで、価格競争から解放されます。

読者が自分の状況に置き換えられる「強み発掘」チェック

あなたの会社の商品にある「物語の種」や「独自性」を発掘してみましょう。

強み発掘の視点質問ECでの訴求イメージ
独自の製法祖父母の代から伝わる、手間ひまかけた製法がありますか?「3日間、火を絶やさず煮込んだ」先代から受け継いだ秘伝のタレ
ターゲットの切実な悩みその商品が、特定の「切実な悩み」を解決できますか?「単身赴任中の夫に、栄養と温もりを届ける、冷凍のお惣菜セット」
用途の意外性開発者だから知っている、一番美味しい「裏技」的な食べ方がありますか?「知る人ぞ知る、お餅にかけると絶品の〇〇」といった、新しい食べ方の提案
生産者との繋がり素材の生産者との、熱いエピソードがありますか?「農家さんと喧嘩しながら決めた、最高の収穫タイミング」のストーリー

中小食品メーカーがゼロから踏み出す「最初の3ステップ」

中小メーカーが限られたリソースでネット通販事業を立ち上げ、軌道に乗せるために、最初に集中すべき3つのステップを解説します。

ステップ1:売れる商品と理想の顧客を「徹底的に絞り込む」戦略設計

スタートアップ時にリソースを分散させるのは失敗の元です。
「すべての商品を、すべての人に売る」という考え方はすぐに捨ててください。

実行すべき2つの条件

  1. 「通販に適した」商品に絞る
    • 利益率の高い商品:原価、梱包材、送料を考慮しても十分な利益が出るか。
    • 配送に適した商品:常温または冷凍で配送しやすく、割れにくいか。
    • 「定期購入」や「ギフト」といった販売戦略を立てやすいか。
  2. ペルソナ(理想の顧客像)を具体化する
    • 「30代の健康志向の主婦」ではなく、「仕事と育児に追われ、自分の食事は二の次になりがちな、首都圏在住の35歳働く母親(Aさん)」のように、悩みや価値観まで掘り下げて設定します。
    • Aさんがネットで何を検索するか(例:「時短 無添加 離乳食」「罪悪感のない夜食」)を予測し、商品名や説明文の土台を固めます。

ステップ2:低コストで始める「自社ECサイト」環境整備

長期的な成功と利益率の改善を目指すなら、自社ECサイト(ネットショップ)を持つことが必須です。

最初に選ぶべきシステムと費用対効果

  • ASP型ECカートサービスの活用
    高額な独自システムは不要です。初期費用や月額費用を抑えられ、直感的に操作できるShopify、BASE、STORESなどから選びましょう。初期費用はほとんどかからず、月額数千円〜数万円でスタートできます。
  • 初期投資の目安
    サイト制作費、写真撮影費、ドメイン取得費などで、50万〜150万円の予算を見ておくと安心です。高額な独自デザインは避け、テンプレートを活用しましょう。
  • 配送・梱包の設計
    最初は自社で対応し、お客様への手書きメッセージなど、手作業ならではの温かさを付加価値にします。作業が追いつかなくなったら、「物流代行(フルフィルメントサービス)」への外部委託を検討するロードマップを描いておきましょう。

ステップ3:「買いたくなる理由」を徹底的に伝える情報設計

サイトができたら、次は「情報設計」です。
お客様に「なぜこの商品を選ぶべきか」を理解させ、競合に負けないメッセージを伝えます。

実行すべき2つのポイント

  1. 「感情的価値」を言葉で描く
    商品の機能(スペック)だけでなく、「食卓の笑顔」「罪悪感のない贅沢」「離れて暮らす親への安心感」といった、お客様が得る体験をキャッチコピーや写真で表現します。
  2. 検索で見つけてもらうための工夫(情報発信)
    • キーワードの活用:ステップ1で設定した顧客の検索行動に基づき、商品名や商品説明文に、お客様が探す具体的なキーワード(例:「〇〇アレルギー対応 ギフト」)を自然に盛り込みます。
    • 専門性の発信:商品に関連するコラムやレシピ、開発ストーリーをサイト内に充実させます。これにより、お客様からの信頼性が高まり、「専門性の高いお店」として認知されます。

FAQ(よくある質問)と専門家からのアドバイス

ここでは、中小食品メーカーがECを運用していく中で直面する疑問や、専門家として特に注意してほしいポイントを解説します。

FAQ:立ち上げ後の疑問を解消する

Q1:高額な「高級食品ギフト」の客単価を維持するには?

A: 価格以上の「感情的な価値」と、「贈る場面の安心感」を提供し続けてください。
お客様は、高額な高級食品ギフトを選ぶとき、「失敗したくない」という不安を強く感じています。商品の美味しさだけでなく、「手書き風のメッセージカードの代筆サービス」や「専用の化粧箱」、「丁寧な梱包の動画公開」など、「最高の体験」を確実に届けるための付加価値を徹底的に高めましょう。

Q2:商品数が少ないのですが、どうやってサイトの「情報量」を増やせば良いですか?

A: 「商品カタログ」ではなく「お客様のガイドブック」としてサイトを育てましょう。 商品数が少なくても、その一つの商品について、「開発者の想い」「生産者のこだわり」「アレンジレシピ」「お客様のリアルな声」「美味しい食べ方 Q&A」といったコンテンツを充実させれば、サイトの情報量は劇的に増えます。サイトを「お客様が知りたいことすべてが載っている専門誌」として育ててください。

Q3:資金が少ないため、広告費をかけられません。どう集客すべきですか?

A: 「人から人へ伝わる仕組み」と「検索からの流入」を徹底的に強化しましょう。 広告に頼らず集客するには、以下の2つに集中します。

  1. ファンによる拡散
    商品が届いたお客様が「思わずSNSに投稿したくなる」ようなパッケージやサプライズ(例:手作りの可愛いおまけ)を設計します。
  2. 検索からの流入(自力集客)
    コラムやブログで、お客様の具体的な悩み(例:「妊娠中に食べられるお菓子」)を解決する情報を発信し、検索エンジンから集客する仕組みを作ります。

立ち上げ初期に成功を加速させる3つの行動チェック

ネット通販は「サイトを作って終わり」ではありません。成功を加速させるために、この3つの行動をすぐに実行してください。

行動チェックリストはい/いいえ
スモールスタートの実行主力商品1~3点のみでサイトを公開し、完璧を求めず、まずはお客様の反応を見る準備ができていますか?
リピート施策の設計初回購入のお客様に必ず同梱するお礼の手紙やクーポン、次回の購入を促す仕組みを設計していますか?
コストの「見える化」商品の原価、梱包材費、送料を正確に計算し、「1件売れたらいくら利益が出るか」を明確に把握していますか?(赤字販売を避けるため必須)

まとめ【ネット通販は「人との繋がり」を作る、未来への投資】

今回のポイント

  • EC事業は「人との繋がり」
    ネット通販は、商品の魅力と企業の想いを、全国のお客様に直接伝える最高の場です。

  • 成功の羅針盤
    大手との価格競争を避け、ニッチなターゲットの「切実な悩み」を解決する戦略が、中小企業を勝利に導きます。

  • 最初の3ステップ
    戦略設計 → 自社ECサイト構築 → 「買いたくなる理由」の情報設計の順で、自信を持ってスタートできます。

  • 失敗しないための覚悟
    初期投資を抑え、広告に依存せず、リピーターというファンを増やすことが、長期的な安定経営の鍵です。

ネット通販は、単なる販売チャネルではなく、あなたの会社の「未来への投資」です。一歩踏み出せば、その先には全国のお客様との出会いと、安定した売上が待っています。

不安を確信に変える診断を受けてみませんか?

ここまで読んでいただき、具体的なイメージは湧いたものの、「うちの商品がネット通販で本当に売れるか、最初の戦略設計は正しいのか」といった疑問が残っているかもしれません。

ネット通販で成功し、大手と競争せずに利益を出すためには、「何を、誰に、どんな価値として売るか」という商品企画の軸が最も重要です。

特に食品の場合、「ギフト」という非日常的な用途を視野に入れた“価値の伝え方”こそが、一般の食品通販市場で生き残るための強力な武器になります。この企画の軸がブレていると、どれだけ立派なECサイトを作っても、集客は難しくなります。

そこで、あなたの会社の商品やブランドの現状に基づき、「市場で通用するギフト価値」を持っているかを客観的にチェックするための【ギフト課題チェックリスト】をご用意しました。

課題が見えることで、次の一手も明確になります。
未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください

今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

あなたのビジネスが成功することを
いつも応援しています。