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ギフト通販業界で18年、MD・バイヤーとして1,000社以上の食品会社様とお取引を重ね、数々のヒット商品を手がけてきました。

今は、その知見を活かし中小食品会社様のギフト事業を“売れる形”にするお手伝いをしている内田です。

あなたは、商品の販路を広げたいと思った時、「大手スーパー」「百貨店」「専門卸」「通販プラットフォーム」…と、あまりに多くの選択肢を前に、どこから手をつけていいか分からず、悩んだことはありませんか?

今日は、そんな悩みを抱える中小食品メーカーの方に向けて、長年のバイヤー経験から学んだ卸と自社ECを失敗なく伸ばす「3年間の販路拡大戦略」についてお伝えします。

なぜ中小企業は全方位営業で失敗するのか?

多くの事業者が陥る最初の落とし穴は、「全方位営業」です。

限られた人的リソースしかない中小企業が、すべての卸先に同時にアプローチしようとすると、以下の
ような事態に陥りがちです。

  • リソースの分散
    営業、商品開発、製造、在庫管理など、すべての部署の負担が増大し、一つひとつの業務が中途半端になります。営業に時間を割くあまり、商品ページの更新が滞ったり、顧客対応がおろそかになったりといった本末転倒な状況に陥りやすくなります。

  • メッセージの不一致
    百貨店が求める「高級感」と、スーパーが求める「手頃さ」は異なります。全方位に合わせようとすると商品のコンセプトやブランドメッセージがブレてしまい、結局誰にも響かない商品になってしまいます。

  • 中途半端な成果
    結局、どの卸先にも深く刺さることができず、「話は進んでいるけど、なかなか採用に至らない」という状態に陥り、貴重な時間と費用を無駄にしてしまいます。

    また、バイヤー側も
    「この会社はうちのことに本気ではないな」と見抜いてしまい、信頼を失うことにもつながります。

重要なのは、闇雲に広げるのではなく、「攻める順番」を決めることです。

失敗しない卸先選び 3年で結果を出す段階的戦略

販路を広げる際には、いきなり全国展開を目指すのではなく、段階的に広げていくことが成功の鍵となります。

1年目:初期実績を作る「近距離戦」

まずは、自社商品の魅力が伝わりやすく、初期実績を作りやすい「近距離戦」から始めましょう。

  • ターゲット
    地域密着型スーパー、道の駅、地域で開催される催事、地元百貨店など。

  • なぜこの段階から始めるのか?
    • 関係構築のしやすさ
      地域の卸先は、担当者との距離が近く、直接相談したり、売れ行きやお客様からの生の声をもらったりしやすい環境です。

    • 地理的優位性
      輸送コストや時間的負担を抑え、きめ細かな対応が可能です。万が一トラブルが起きても、迅速に対応できるためバイヤーとの信頼関係を築きやすくなります。

    • 成功事例の創出
      小さな規模であっても、売上実績やお客様の声を獲得できれば、それは次のステップで大きな「信頼」という武器になります。

      例えば、「地元〇〇百貨店で、お中元ギフトとして採用され、完売しました」という実績は、他地域のバイヤーへの強力な説得材料となります。

2年目:地域を広げる「中距離戦」

1年目で得た実績を武器に、活動範囲を少しずつ広げていきましょう。

  • ターゲット
    他地域の中堅百貨店、中小規模のチェーンストア、地方のギフト専門店など。

  • なぜこの段階なのか?
    • 実績の証明
      1年目で得た成功事例をプレゼン資料に盛り込むことで、バイヤーに「この商品は売れる」という確信を持たせることができます。
    • サプライチェーンのテスト
      地元以外の地域に商品を卸すことで、物流体制や在庫管理、コスト管理の課題が明確になります。これは、全国展開に向けた貴重な「予行演習」となります。

3年目:全国に挑む「遠距離戦」

1年目と2年目で得た実績とノウハウ、そして安定供給の体制が整った段階で、いよいよ全国規模の卸先へと挑みます。

  • ターゲット
    全国展開する大手卸、大規模ギフト専門サイトなど。

  • なぜこの段階なのか?
    • 十分な実績と信頼
      大手小売りは、「過去にどれくらい売れたか」「安定して供給できるか」といった実績と信頼性を重視します。これまでの実績が、強力な説得材料となります。
    • 供給能力の証明
      2年目で物流の課題をクリアしていれば、大規模な取引にも安心して対応できることを示せます。

この順序で進めることで、無駄な営業活動を避け、着実に販路を広げていくことが可能になります。

卸営業と「並行」して進めるべき自社EC育成法



卸売だけに頼るビジネスには、以下のような弱点があります。

  • 価格コントロールの難しさ
    卸先によって販売価格がバラバラになり、ブランドイメージが損なわれるリスクがあります。

  • 顧客情報のブラックボックス化
    卸先を通じて売れるため、「誰が買ってくれたのか?」という顧客情報や、お客様からの直接的な声を得られません。

    これは、次の商品開発やマーケティング戦略に活かすことができない、大きな機会損失です。

そこで、卸営業と並行して、自社ECの基盤を“種まき”しておくことが大切です。

ローカルSEOで「種まき」

最初は広告に頼らず、まずは「ローカルSEO」から始めるのがおすすめです。

  • 方法
    HPやブログで、「〇〇市(地名)+和菓子」「〇〇県(地名)+ギフト」といった、地名と商品名を組み合わせたキーワードで検索されるように、コンテンツを最適化します。

  • メリット
    • 初期費用を抑えられる
      有料広告と違い、コストをかけずにアクセスを増やせます。

    • 高いコンバージョン率
      検索意図が明確なユーザーが多いため、購入につながる可能性が高いです。

    • 地元のファンを獲得
      実際に足を運んでくれる可能性のある、最も見込みの高い「地元のファン」をECにも取り込みやすくなります。

卸で得た知見をECに活かす

卸先バイヤーからの厳しいフィードバックや、店頭での売れ筋情報、お客様の声を自社ECに反映させましょう。

  • 「ギフト需要が高い」と分かれば、ECサイト
    のギフト対応(熨斗、メッセージカード、ラッピング)を強化する。
  • 「特定のパッケージが人気」と分かれば、その
    パッケージをECサイトの主力商品として推す。

顧客との関係を築く

卸売では得られない顧客情報を、自社ECで収集しましょう。

  • メルマガ・SNS
    購入してくれたお客様に、メルマガやSNSを通じて、商品の開発秘話や季節限定商品の情報を発信し、リピート購入を促します。

  • 会員制度
    会員登録特典や、購入履歴に応じた限定クーポンを発行することで、お客様との関係性を深め、ブランドのファンを育てることができます。

卸と通販に共通する「売れる見せ方」のルール

卸先バイヤーも、ECサイトの購入者も、商品の良さを判断する材料はほぼ同じです。

以下の3つの要素が揃っていないと、「いい商品なのに魅力が伝わらない」という状態になってしまいます。

ギフト対応の充実
熨斗、包装、メッセージカードのサービスが充実していることは、ギフト需要の高い食品ECにおいて、必須条件です。

お客様が贈るシーンを想像しやすくなるよう、丁寧に準備しましょう。

②高級感や季節感のある写真
プロによる美しい写真は、商品の価値を何倍にも高めます。

特に食品の場合、シズル感(みずみずしさや美味しそうに見える感じ)が伝わる写真は非常に重要です。

③ターゲットが共感できるストーリー
商品が持つ物語や、作り手の想いを丁寧に伝えることで、お客様の心に響きます。

ウェブサイトやパンフレットに、商品が生まれた背景や、素材へのこだわりを記すことで、単なる「モノ」ではない「価値」を提供できます。

価格と見せ方の「整合性」が信頼を生む

卸先への提案時も、自社ECでも、「価格に見合った価値」が、見た目から伝わることが非常に重要です。

  • 2,500円の和菓子詰め合わせなら、化粧箱や掛け紙で上品に見せ、作り手や素材の背景を丁寧に説明することで、お客様は価値を納得し、選びやすくなります。
  • 逆に、包装が簡易で説明も乏しいと、1,000円でも「高く」感じられてしまいます

価格は単なる数字ではありません。商品の「価値」を表現する重要な要素です。

卸先バイヤーも、自社ECの顧客も、この「整合性」を無意識のうちに判断していることを忘れてはいけません。

まとめ【卸と通販を“順番”で伸ばす】

卸売と通販は、同時に進めるのではなく、順番を決めて並行育成することが成功のポイントです。

  • まずは身近な卸で、確実に売上実績と信頼を築く。
  • その間に、自社ECの基盤を整え、地元のファンを育成する。
  • そして、実績と信頼が揃った段階で、全国規模に挑む。

この流れなら、限られたリソースでも3年以内に売上の大きな成長が期待できます。

「どこから攻めればいいのかわからない」という方は、まずは現状の販路と見せ方を整理してみませんか?


課題が見えることで、次の一手も明確になります。未来の成果につなげるために、ぜひご活用ください。


今日も最後までお読みいただき
ありがとうございました。

あなたのビジネスが成功すること

をいつも応援しています。